環境共生住宅(かんきょうきょうせいじゅうたく)は日本の住宅政策。地球環境および周辺環境に充分な配慮を行った上で、快適な住環境を実現させた住宅および住環境のことである。
今日発生している様々な環境問題の中には、地球温暖化や資源の浪費・枯渇などのグローバルな問題もあれば、地域における伝統的な景観や独特の生活文化、生態系の消失の問題、地域コミュニティの退潮や消失の問題、シックハウスなど住宅とそこに住む個人の間で発生する問題など、様々な階層が存在している。環境に関するこうした現代の諸問題を、住宅および住宅を取り巻く環境(住環境)の工夫によって解決しようとするのが、一般的な意味での環境共生住宅である。
日本国を例に挙げると、1960年代以降に進められた木材輸入の自由化政策により、住宅建設の為に使われる木材に占める外国産木材の割合は1990年代には2割を切ることになった。その結果、日本で消費される大量の安価な木材の供給源となった東南アジアや北アメリカの原生林は乱伐の対象となり、広範な環境破壊が発生した。一方、輸入材に対する価格競争力を持たなくなった日本の森林は殆ど利用されることなく放置され、スギ花粉症などの環境問題が発生することになった。
また高度成長期以降の日本の住宅寿命は、1999年の資料では37年であり、イギリスの141年、フランスの103年、ドイツの57年に較べて著しく短い。更に日本の住宅解体は「ミンチ解体」と呼ばれる、資源の再利用を行わない解体法が主流であるため、大量の建築廃材が産業廃棄物と化してしまう。
こうした諸問題は、国産材の積極的な利用や住宅寿命の長期化、分別リサイクルしやすい工法などを用いることで対応することが可能である。
太陽光発電や高断熱工法、天水の積極利用、敷地内における樹木の計画的配置と効果的な換気により、環境負荷を抑えた形での電気や水の利用が可能となる。
エアコンの普及以降、家屋の内部環境は外部環境と切り離してコントロールするという考え方が一般的であったが、環境共生住宅においては、周囲の自然環境と家屋内部の環境を効果的に調和させるという考え方が採られる。
環境共生住宅は、竪穴建物のように単に環境負荷が低いだけの住宅ではなく、地球環境や周辺環境への配慮と快適な室内環境を両立させるものである。例えば健康な成人だけでなく、乳幼児や障害者、老人にとっても安全で使いやすい設計を採用したり、天然素材の使用によってシックハウス症候群を防いだり、無塗装の天然木を使うことで調湿効果を発揮させたりといった工夫が提案されている。
環境共生住宅の中にはコーポラティブハウス方式で建設されるものもあるが、こうした環境共生住宅の中には、住民による緊密で良好なコミュニティが形成される事例もある。
国土交通省(旧建設省所管)の市街地のまちづくり活性事業における環境対策の推進(住宅局住宅建設課所管)では、以下のものがある。
環境共生住宅市街地モデル事業地には以下の場所がある。
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