『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(だいけっせん ちょうウルトラはちきょうだい)は、2008年9月13日に全国松竹系映画館にて公開された円谷プロダクション製作の特撮映画作品。
キャッチコピーは「この世界を、僕が守る」。
昭和ウルトラマンシリーズのオリジナルキャストが出演した前作『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の好評を受け、本作品ではさらに昭和ウルトラマンと平成ウルトラマンの共闘を描く。タイトル通り、本編にはウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンガイア、ウルトラマンメビウス、初代ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンAの8体のウルトラ戦士からなる超ウルトラ8兄弟が登場する。当時はマルチバースの設定が確立される前だったため、いわゆる「平成シリーズ」である前3者と他の「光の国シリーズ」(『メビウス』含む)とは世界観が異なるためにこれまで相容れなかったが、今回はパラレルワールドという形で初の共演を果たしている。
本作品は横浜港開港150周年の前祝作品として製作され、それに併せて横浜が本編の舞台として設定されている。横浜市が撮影に全面協力し、通常は映画などの撮影を許可していない横浜中華街や横浜公園などでも特別に撮影が行われた。
ティガの起用について、プロデューサーの鈴木清は「ティガは多くの伝説と記憶を残した作品。ウルトラシリーズの総決算の作品を目指す」と語った。また、主演を務める長野博は『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』以来、8年ぶりにマドカ・ダイゴ=ティガを演じる。他にもアスカ・シン、高山我夢、ヒビノ・ミライ、そして前作に引き続き4兄弟の人間体もすべてオリジナルキャストが演じている。平成3部作の主人公が人間体で共演するのも本作品が初である。
本作品は「かつてウルトラシリーズがテレビで放映されていた世界に本物のウルトラマンが現れる」という、『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』と似た設定である。大きく違うのは、別の世界でウルトラマンとして戦った者たち(メビウスを除く)が普通の人間として暮らしている世界が舞台という点。テレビ本編でのヒロインたちもオリジナルキャストが演じており、彼らの妻や恋人として登場する他、かつて防衛隊員などを演じた俳優が多数カメオ出演している。また、吉本多香美が演じるレナが実父の黒部進演じるハヤタの娘に設定されている他、女性キャラの娘役として実子が多数出演し、『ガイア』での共演が縁で結ばれた高野八誠と石田裕加里夫妻も実子とともに夫婦役で出演。監督の八木毅は、佐原健二・川地民夫・木之元亮・影丸茂樹・石橋けいは脚本の時点で出演を前提とした当て書きだったと証言。長野とムナカタ役の大滝明利を除く経済観光局・観光交流推進課の職員は、本物の横浜市役所の公務員が演じた。
登場怪獣・宇宙人は、舞台である横浜と縁のあるゲスラ、セブン最後の敵パンドン、「光の国シリーズ」の宇宙人の中でまだ再登場していなかったヒッポリト星人、主役である『ティガ』の怪獣シルバゴンとゴルドラスが登場。
本作品より、本編・特撮の撮影方式が従来の35mmフィルム撮影からフィルムを一切使用しないパナソニックとのタイアップによるデジタル撮影のHD24P(ハイビジョン)方式に切り替っており、ノンリニアで全ての編集を行い、CG場面を含めて完全なハイビジョン作品として仕上げられた。特撮面では、ミニチュア特撮とCG双方に力が入れられている。
入場者プレゼントは、大怪獣バトルEX怪獣カード「ギガキマイラ」だった。親子ペア券、一般券、小人券を購入すると、「超ウルトラ8兄弟特製プラカップ」や大怪獣バトルEXスーパーコンボカード「ウルトラマンティガ」がプレゼントされた。
2022年現在、TBS系列局が製作に関わったのも、平成ウルトラシリーズ全般を指揮していた円谷一夫が製作に関わったのも、本作品が最後である。
前作『メビウス&兄弟』は前評判が好調であったことから、公開前の2006年夏の時点で次作品についての検討が始められた。その中で、『メビウス&兄弟』では神戸とタイアップを行ったことが制作や宣伝に効果的であったことから、本作品では2009年に開港150周年を迎える横浜市を舞台とすることが提案され、2006年秋に映画製作が正式に決定された。
方向性が決まる以前には、ウルトラマンタロウを主役に『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟2』のタイトルで企画された。長谷川圭一が執筆したプロットには、タロウの他にメビウスや本作品にも登場する4兄弟(ウルトラマン、セブン、ジャック、エース)、前作に登場しなかったウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラマンレオ、アストラ、ウルトラマン80、ウルトラマンヒカリ、『メビウス』のレギュラー(CREW GUYSのメンバー)、そして成人している設定で『ウルトラマン』のホシノ・イサム、『帰ってきたウルトラマン』の坂田次郎、『ウルトラマンA』の梅津ダン、『ウルトラマンタロウ』の白鳥健一が登場。酉澤安施によるペギラ、バードン、アストロモンス、タイラント、グランドタイラント(タイラントにゴモラ、エレキング、ツインテール、バキシム、アストロモンスが合体した強化版)のデザイン画も完成していた。しかし、『メビウス&兄弟』同様の路線とすることに懐疑的な意見が多く、この案は不採用となった。
バンダイからティガをメインとすることが提案され、長野博の出演が確定したことにより、2007年4月から企画が再始動した。プロデューサーの鈴木清による当初の案では、登場するウルトラマンはティガと件の5人(ウルトラマン、セブン、ジャック、A、メビウス)のみだったが、長谷川がダイナとガイアも登場させることを提案し、8人のウルトラマンが登場することとなった。ストーリーは、当初のプロットでは地球に隠れ住むヒッポリト星人の科学者とその娘が時空を歪めてしまうという展開だったが、最終的には赤い靴の少女と黒い影法師との対立を軸としたシンプルな構造に改められた。
監督には前作と同じく小中和哉が予定されていたが、スケジュールの都合がつかなかったため、当時『ULTRASEVEN X』を担当していた八木毅が起用された。八木の参加後にプロットが完成し、主演の長野も交えて脚本作業が進められた。当初はパンドンではなくブラックキングが検討されており、第1稿の脚本段階ではベロクロン、アーストロン、ゴルザ、ガンQの登場も予定されていた。
本編は2007年10月15日に、特撮は同年12月初旬にそれぞれクランクインした。
テレビ番組のヒーロー・ウルトラマンに憧れるマドカ・ダイゴ、アスカ・シン、高山我夢の3人は、赤い靴を履いた不思議な少女と出会い、夕焼けの空に輝く一番星に願い事をする。ダイゴは宇宙船の船長になること、アスカはプロ野球選手になること、我夢は科学者になってダイゴの乗る宇宙船を開発すること。
しかし、それから25年の月日が流れ、ダイゴは横浜市役所観光課の職員、アスカは横浜スタジアムのボールボーイ、我夢は横浜マリタイムミュージアムの学芸員としてごく普通の平凡な日常を送っていた。
ある朝、横浜上空に蜃気楼が発生。その直後、ダイゴは見たことのないウルトラマンを目撃。さらにウルトラ兄弟が戦う夢を見るが、ダイゴと親交のあるハヤタ、モロボシ・ダン、郷秀樹、北斗星司が変身していた。
数日後、ダイゴは自分の住む世界とは似て非なる別の世界に迷い込み、ウルトラマンメビウスと怪獣キングゲスラの戦いに遭遇。ダイゴはテレビで観たウルトラマンとゲスラの戦いを思い出してメビウスに助言し、メビウスはキングゲスラを倒した。メビウス=ヒビノ・ミライに礼を言われたダイゴは元の世界に戻るが、同時にミライもダイゴの世界に迷い込んできた。ミライは、赤い靴の少女から7人の勇者を目覚めさせてこの世界を救ってほしいと頼まれたという。
ダイゴとミライが7人の勇者を捜している最中、怪獣キングパンドンが出現。メビウスはキングパンドンを倒したが、スーパーヒッポリト星人の罠でブロンズ像にされてしまう。勝ち誇るスーパーヒッポリト星人は、キングシルバゴンとキングゴルドラスも呼び寄せる。
人々が絶望しかけた中、ダイゴは赤い靴の少女と会ったあの日、彼女と交わした約束をふと思い出した。そして、自分が目撃したウルトラマンは、別の世界での自分であることを知る。
それぞれが本来の世界とは違う別の世界の人物で、各作品のヒロインと戦いとは無縁の幸せな生活を送っている。この世界の異変に際してやって来たメビウスを除き、終盤で全員がウルトラマンとして活躍する別世界での自分との記憶が同期化することでウルトラマンとしての記憶が宿り、変身アイテムが現れて戦った。
ウルトラ戦士たちが覚醒すると同時に、メグと七海以外は全員が別世界でウルトラマンたちと過ごしたそれぞれの自分たちとの記憶が同期化する。
本作品に登場する8大ウルトラマンの総称。ティガ、ダイナ、ガイア、メビウスはそれぞれの基本形態のみ登場。終盤では8人全員が、全身を黄金色に輝かせたグリッターバージョンへと変身する。
人々が信じた未来や希望の“光”を得てパワーアップした姿。銀の部分が金、赤の部分が赤みのある金と元々のカラーを金色に変えたカラーリングとなっている。『ウルトラマンティガ』のグリッターティガのように巨大化はせず、身長は通常時と同じ。
本作品の公開に前後して、宣伝を兼ねる形でいくつかの番組に出演者が出演している。
2009年1月23日発売。発売・販売元はバンダイビジュアル。ウルトラマンの映画作品としては初めて、ブルーレイディスクが発売された。
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