デストロイガンダム (DESTROY GUNDAM) は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』、および劇場用アニメ映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の有人式人型ロボット兵器の1つ。「地球連合軍」に属する。MS形態への変形機構を持つ。操縦には生体CPUの存在が不可欠で、劇中では第81独立機動群「ファントムペイン」所属のステラ・ルーシェをはじめとした「エクステンデッド」たちが搭乗する。「デストロイ」は英語で「破壊」を意味する。メディアや関連商品では「デストロイガンダム」と公称されるが、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』作中内の設定においては、同作の他のガンダムタイプ同様に「デストロイ」と呼称される。
メカニックデザインは大河原邦男。
ユーラシア連邦の軍事企業アドゥカーフ・メカノインダストリー社が開発した大型可変機。ザムザザーやゲルズゲーといった大型MAのコンセプトを推し進めるとともに、これまで連合が培ったMS技術を融合した機体である。
単機でMS多数分の性能を発揮するガンダムタイプとして製造されているものの、ザフト側に対する技術的優位性が失われつつあったことと、バッテリーと装備の充実を考慮し機体は大型化した。専用OS「G.U.N.D.Am. Fortress」によって制御される機体全身に多数の砲門を備え、艦隊や多数の敵機を消滅させる絶大な火力を誇る。また、強固な装甲と陽電子リフレクターを備え、ビーム・実体弾兵器を問わず鉄壁の防御力を有している。背面の円盤型バックパックは4基の高出力ホバースラスターを内蔵したフライトユニットとして機能し、MA形態時ではこれによって大気圏内の飛行も可能とした。機体の性質上、デストロイの主形態はMA時であり、その砲撃能力をもって移動砲台として機能する。反面、同形態の運動性の低さから拠点制圧用のMS形態を持ち合わせている。
その戦闘力はMS・MAという戦術兵器を超えた戦略兵器とも呼ぶべき代物であり、単機での要塞攻略・殲滅戦を可能としている。しかし、その代償として機体制御や火器管制システムの複雑化を招いており、本機を円滑に運用するためには高い空間認識力が必要とされた。そのため、連合では身体機能を強化されたエクステンデッドの専用機として扱われている。また、本格的な格闘装備を持たないことから肉薄攻撃は不得手としている。さらに、その圧倒的な火力ゆえに、機体周辺に味方の援護部隊を配置することができず、また機動性の緩慢さから、近接戦に陥ると、たちどころに敵の標的になってしまう。操縦の際には、専用のパイロットスーツを着用しなければならない。
2クール目のオープニングではシルエットで登場。3クール目以降のオープニングでは細部まで見えるようになった。
劇中ではユーラシア連邦西部における戦闘でステラ・ルーシェの搭乗機として初登場し、ネオ・ロアノークのウィンダムやスティング・オークレーのカオスと共に出撃。都市にはザフトが駐留しており、地球軍の接近に伴って出動していたが、本機はこの駐留軍をアウフプラール・ドライツェーンの一撃だけで焼き払う。その後もヨーロッパ各地の都市に配備されたザフトのMS部隊ごと街を殲滅しながら進攻し、ベルリンに到着するまで多くの都市をなぎ払った。
ベルリンではアークエンジェルと交戦し、そのゴットフリートMk.71やキラ・ヤマトのフリーダムガンダムのハイマット・フルバーストをも無傷で防御しながらの戦闘を繰り広げていたところ、ザフトからはミネルバも参戦してシン・アスカのインパルスも交えた乱戦へ発展する。途中、ネオのウィンダムがフリーダムに撃墜されたことで死の危険を感じたステラは本機の火力に物を言わせて暴れ回るが、パイロットがステラと知ったシンの説得で戦闘を停止する。しかし、フリーダムを前にしたステラは再び暴走して正面のインパルスを目がけてスーパースキュラを発射しようとするも、その直前にフリーダムのMA-M01 ラケルタ ビームサーベルによる近接攻撃を受けて砲門が損壊し、エネルギーが行き場を失って暴発したことにより生じた内部機構の誘爆を経て、天空へ向いたツォーンMk2からビームを噴出しながら機能を停止した。この戦闘でステラが戦死したことが、彼女へ好感を抱いていたシンにフリーダムとの対決を決意させる動機となる。
その後は少数ながら量産されており、ヘブンズベース攻略戦ではスティングの搭乗機を含む5機が出撃し、ザフト・反ロゴス同盟軍のディン、バビ、グフイグナイテッドやボズゴロフ級潜水艦などを破壊して多大な損害を与えた。しかし、懐に飛び込まれると弱いという本機の弱点を看破され、デスティニーガンダム、レジェンドガンダム、インパルスによって次々と撃破されていき、最終的に5機とも撃墜された。 3号機が撃墜されて敗色濃厚でジブリールがロゴスメンバーを見捨てて緊急避難を開始し、ロゴスが降参の白旗を上げる前後でスティングオークレーの1号機撃墜後に最後の1機がシンのデスティニーに撃墜された。
レクイエム攻防戦でも3機が出撃したが、この頃になるとベルリン戦のような破壊力を見せつける前に倒される役回りとなっており、陽電子リフレクターもトランスフェイズ装甲もビームサーベルには無力で手も足も出ず、3機ともデスティニー、レジェンドとの交戦で短時間のうちに撃墜された。
『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY』ではファンフェルト・リア・リンゼイの搭乗機がアグニス・ブラーエのターンデルタと交戦するが、撃墜されている。
本機は地球連合軍、ブルーコスモス、そしてロゴスがプラントとの再戦の切り札として用意していた秘密兵器であるが、本編第27話や『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』第2話ではベルリン戦以前にプラントなどの敵陣営に本機の情報が漏洩していたことが示唆されている。漏洩した情報はデュランダルが見ており、彼には早期のロゴス非難の情報工作作戦を練られ、ベルリン襲撃直後にロゴス非難声明を出されてしまう。
C.E.75年を舞台とする劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ではブルーコスモス残党の戦力として物語冒頭に登場し、地球上においてジンやザゥートなどを圧倒的な火力で殲滅するが、衛星軌道上より飛来した世界平和監視機構「コンパス」のヤマト隊を率いるキラの操るライジングフリーダムのハイマットフルバーストモードの掃射を受けたうえにシールドブーメランで切り裂かれ、以前よりも容易に撃破される。エルドアでの戦闘時には背部ユニットと左腕を喪失し、右胸のスーパースキュラは破損したまま応急処置で封印された中破状態の機体も登場。修復もままならない状態で出撃した結果、ライジングフリーダムとイモータルジャスティスにコンビネーション攻撃で追い込まれ、サーベルの同時攻撃で撃破された。
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