三島駅(みしまえき)は、静岡県三島市一番町にある、東海旅客鉄道(JR東海)・日本貨物鉄道(JR貨物)・伊豆箱根鉄道の駅である。JR東海の東海道新幹線、JR東海・JR貨物の東海道本線(JR東海が第一種鉄道事業者でJR貨物が第二種鉄道事業者)、伊豆箱根鉄道の駿豆線が乗り入れている。駅番号は東海道本線がCA02、駿豆線がIS01。本項では日本国有鉄道時代に存在していた三島信号場についても記述する。
東海道本線の運行形態の詳細は「東海道線 (静岡地区)」を参照。
三島市の代表駅である。1日の乗降客数は、沼津駅を上回り、静岡県東部(伊豆半島)で最も多い。JR東海の駅舎と伊豆箱根鉄道の駅舎は分離されているが、駅構内は隣接し、線路がつながっている。JR東海の南口駅舎は富士山と三嶋大社をイメージしたものになっており、中部の駅百選にも選定された。
東海道本線で運行される列車のうち、当駅に停車するものは普通列車が中心だが、東京駅発着で東海道本線と駿豆線を直通運転する特急「踊り子」も停車している。当駅以西へ向かう特急列車(東海)も存在していたが、2007年3月18日のダイヤ改正に伴う廃止により消滅した。快速「ムーンライトながら」は下りのみ(臨時を含む)当駅に停車していたが、2009年3月14日のダイヤ改正で臨時列車への格下げと同時に停車駅が見直され、両方向とも当駅通過となった。その他夜の下りホームライナー1本が当駅始発で運転されていたが、始発駅が沼津に変更され、こちらも当駅への停車がなくなった。東海道新幹線の列車は、「ひかり」が1日上下6本ずつ(2時間に1本)と「こだま」が停車し、「こだま」は当駅発着列車も設定されている。
駅は東海道本線の丹那トンネル開削(国府津駅 - 沼津駅間開業)に伴って1934年12月に開業した。同時に、1898年に運行を開始した駿豆線も下土狩駅から起点を変更し乗り入れた。この三島駅は2代目であり、駿豆線の起点であった下土狩駅が初代の三島駅であった。1969年4月には東海道新幹線側にも駅が完成し、1987年4月に行われた国鉄分割民営化では、それまで日本国有鉄道(国鉄)が運営していた三島駅の旅客営業をJR東海、貨物営業をJR貨物がそれぞれ継承した。
JR三島駅の事務管コードは▲520102となっている。
当駅は1934年(昭和9年)に開業した。丹那トンネル開削に伴う熱海 - 沼津間の開通に合わせての開業である。この三島駅は2代目であり、長泉町にあった初代三島駅こと下土狩駅と区別するため、「三島新駅」と呼ばれた。
1889年(明治22年)に東海道線が国府津駅から静岡駅まで開通した際、東海道の宿場町・三島宿として栄えた三島町に駅は開設されなかった。その理由は、町の人々が鉄道建設に猛反対したため(鉄道忌避伝説)とも、積極的な誘致活動を展開したが地勢の都合で鉄道を通せなかったためとも言われる。
いずれにせよ鉄道が通らなくなり、人の流れから外れた三島町は寂れた。苦境を脱するために、1891年(明治24年)に隣の長泉村(長泉町の前身)に駅を開設するよう国に請願したが、これは却下された。そんな中、東海道本線から伊豆半島中部温泉地への便を図る目的で、沼津から大仁に至る「豆相鉄道」(伊豆箱根鉄道駿豆線の前身)の計画が立てられた。その話を聞いた三島町では土地の無償提供まで行って誘致を行い、三島町を経由して長泉村で東海道線と接続するように計画を変更させた。これが功を奏し、東海道線が開通した9年後に豆相鉄道線の分岐駅として、ようやく現在の下土狩駅である初代三島駅が設置されたのである。
その後、丹那トンネルを開削し、勾配のきつい御殿場経由から熱海経由に東海道本線のルートを変更させようという計画が発表された。三島町ではその話を聞くや明治時代の二の舞は起こすまいと、当初丹那トンネルの出口に当たる函南から直線ルートで沼津まで抜け、三島市街を通過せずその南を通るルートが取られる予定であったのを、当時の鉄道院総裁であった後藤新平の元へ三島町長が直接請求をするなど当初から積極的な誘致を行い、市街北部を通過させる計画に変更させ、現在地に新しい三島駅を開設させた。それに合わせて以前の三島駅を下土狩駅に改称し、豆相鉄道改め駿豆鉄道の起点も新しい三島駅に変更された。三島町ではようやく市街地近くに東海道本線の駅が開設された事を大いに喜び、新駅の開業日には富士山を模した駅舎の前に同じ形のアーチが組まれ、同町のみならず、周辺からの人も集めて盛大な式典が催された。また夜になると、アーチには電飾が翌朝まで灯されたといわれる。
新幹線の駅は、新幹線の開業翌年から在来線駅に隣接して保線基地や車両基地・信号場が設けられたが、駅は設置されなかった。しかし開通後、駿河銀行の岡野豪夫頭取などを中心に地元からの強い要望があり、開業5年目の1969年(昭和44年)4月に当駅にもホームが開設された。これは、新幹線の新駅第1号となるものでもあった。
在来線ホームは駅構内の南側にあり、その北側に新幹線ホームがある。在来線ホームは地上にあり、新幹線ホームは高架上にある。
(出典:JR東海:駅構内図)
駅の出入口は、在来線ホームの南側にある南口と、新幹線ホームの高架下にある北口の2か所。改札内は地下通路で結ばれている。地下通路の在来線ホームと新幹線ホームの間には、日本で初めて設置された平面付き二段階エスカレーター・オートウォークがあり、「ゆうロード・三島」と命名されている。このエスカレーターは登場当初日立製作所のCMでも紹介された。エレベーターは、地下通路と各ホームの間および地下通路と南口の間の合計4か所に設置されている。在来線側の3基は1999年度に、新幹線側の1基は2006年度に整備された。
南口の駅本屋は神保忠良によって設計された。木造一階建て372平方メートルで、屋根の緩やかな曲線により富士山と三嶋大社の社をイメージしているといわれる。南口にはJR線の改札口が1か所あるほか、伊豆箱根鉄道との乗り換え口がある。改札口・乗り換え口のいずれも自動改札機が導入されている。駅本屋には自動券売機(在来線のものはTOICA対応・タッチパネル式)やJR全線きっぷうりばがあり、南口側にはTOICAチャージ機、TOICA非対応のタッチパネル式自動精算機が設置されている。また南口・北口には、エクスプレス券売機(指定席券売機)が設置されている。伊豆箱根鉄道との連絡改札口に自動精算機はない。南口側の改札外では、ベルマート が営業している。1934年の開業当初から使用されてきたが、2013年に初代駅舎と同様の外観とし、耐震基準に適合する駅舎に建て替えられた。
高架下にある北口の駅舎には、在来線・新幹線の各改札口や両線の乗り換え口が開設されている。北口は南口と異なり深夜は営業しておらず、そのため地下通路は夜間閉鎖される。駅舎内には南口と同様にすべての改札で自動改札機が導入されている。改札外にはタッチパネル式自動券売機(在来線のものはTOICA対応・タッチパネル式)、JR全線きっぷうりばが設置されている。在来線北口改札内にはTOICAチャージ機とタッチパネル式自動精算機があり、新幹線連絡改札口の在来線側には新型のタッチパネル式の新幹線特急券自動券売機がある。北口側では、新幹線改札内でギフトショップ(ギフトキヨスク三島)が、在来線改札内でベルマートが営業している 他、飲食店などが入居する「アスティ三島」が北口駅舎に併設されている。また2014年には南口にもアスティ三島が新設された。
JR東海の駅長・駅員配置駅(直営駅)であり、管理駅として函南駅を管理している。
駅の南側と北側を結ぶ自由通路は無い。改札外に出てしまった場合、逆側の出口に行くには、入場券を購入するしかない。改札外で南北を相互に行き来するには一般道を大きく迂回する必要があり、徒歩で10分程度かかる。南口側から北口側へ移動する場合、駅前通りを東(函南方)へ約200メートル歩き、三島駅東交差点から北へ約200メートル歩いて線路下のガードをくぐり、そこからさらに西(沼津方)へ約200メートル歩かなければならない。三島市は2006年(平成18年)に三島駅南北自由通路推進事業を発足させ、関係機関と協議を重ねているが実現には至っていない。
頭端式ホーム2面3線を有する地上駅。南側の単式ホームが7番線、北側の島式ホームが8番線と9番線である。8・9番線のホーム上には待合室がある。特急「踊り子」号は直通運転の関係からJR1番線を発着する。
当駅から踊り子号修善寺行に乗車する場合、JR有人改札係員に「踊り子」号に乗車する旨を伝えればJR改札内に入場して乗車できる。また、伊豆箱根側でも案内放送が流れる。
ただし、踊り子号東京行を当駅で下車する場合はJR改札口から出場できず、連絡改札口そばにある伊豆箱根の有人改札口から出場することになっている。この有人改札口はJR改札内、伊豆箱根改札内と改札外(伊豆箱根駅舎)の三方を繋ぐ独特の構造となっている。
駅舎はホームの東端にあり、駅南側広場に接続、JR南口に隣接している。駅北側から直接入出場できないことは当駅の大きな課題となっている。
連絡改札口のJR側には伊豆箱根券売機があり、JR側からはJR乗車券と伊豆箱根乗車券を重ねて改札機に投入するとJRの集札と伊豆箱根の改札が一度に処理され、伊豆箱根の改札済乗車券のみが出てくる仕組みとなっている。JRの精算・区間変更並びにICカード入出場処理には対応していない。
かつての立ち食いそば店(2020年1月閉店)は改札口横にあり、改札内外のどちらからでも利用可能であった。トイレは改札外にある。その他にコインロッカーが改札口前に設置されている。2020年6月30日には東急グループの東急ホテルズが建設した「富士山三島東急ホテル」との連絡通路と飲食店舗「ラーメン居酒屋 福の軒 三島店」が完成した。また発車時に発車ベルと発車ブザーが流れるが、列車接近放送などの自動放送はない。この発車予告音は、かねてより伊豆箱根鉄道・西武鉄道等の西武グループ各社が協賛しているアニメ映画『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』の公開(2019年1月4日)を記念して、2018年12月13日より同作品の楽曲「HAPPY PARTY TRAIN」に変更されている。ただし通勤時間帯を避けて10時から15時までに発車する普通列車のみで使用される。
JR貨物の駅は車扱貨物の臨時取扱駅である。定期貨物列車の発着はないが、伊豆箱根鉄道駿豆線で使用される新造・譲渡車両や、大場工場へ回送される大雄山線の車両を輸送する甲種輸送列車が発着する。
2007年5月下旬まで、駅北側にある東レ三島工場へ続く専用線(全長約1 km・非電化)があり、重油(末広町駅・根岸駅発送)やエチレングリコール(浮島町駅発送)が到着していた。しかし、同年7月よりボイラーの燃料が都市ガスへ転換され、取り扱い量の半分以上を占める重油輸送が終了し専用線は廃止された。線路も撤去され道路や駐車場に転用されている。
また、専用線内に貨物ホームがあり、有蓋車(1994年10月にコンテナ化)輸送も行われていたが、1998年10月に終了された。なお、専用線は駅の5番線北側の側線から分岐していたため、発着する貨車はすべて上り貨物列車で輸送されていた。
桃中軒が製造する駅弁の全種類が当駅(南口・新幹線ホーム)で販売されている。主な駅弁は下記の通り。
1993年度(平成5年度)以降の1日平均乗車人員の推移は以下の通りである。
「静岡県統計年鑑」によると、1993年度(平成5年度) - 2013年度(平成25年度)の貨物発着トン数の推移は以下のとおりであった。
箱根の坂は東海道の難所の一つに挙げられるが、その箱根西坂の麓の宿場町として、また、伊豆国の中心地(ただし三島は伊豆国の北西寄りに位置しているため、駿河国の各地とも接している)として三島は古くから栄えてきたことから、周辺には見どころも多い。源頼朝が平家打倒の旗揚げをした事で有名な三嶋大社は南口から南へ徒歩10分の距離であり、三島市の名勝である楽寿園は南口を出てすぐである。鰻が名物で、これを扱う料理店も駅周辺に散在している。
北西に約1 - 2 kmほど行くと御殿場線の下土狩駅がある。ここは当地に駅ができるまで「三島駅」を名乗っており、当時は駿豆線も下土狩駅まで延びていた。
なお、三島市の中心市街地としては、当駅周辺よりも三島大通り商店街に隣接する伊豆箱根鉄道駿豆線三島広小路駅付近を挙げる場合が多い。
駅から数百メートル進むと伊豆国と駿河国との境目があり、そこは長泉町である。また、西隣の沼津市も駿河国である。
前記の通り、南口側と北口側を結ぶ自由通路がないため、駅の周辺は線路を境に分断された形となり、南口周辺と北口周辺では様相が異なっている。
南口側にはツインロータリー方式の駅前広場が整備され、西側がバス乗り場、東側がタクシーと一般車の乗降場となっている。周辺では再開発が進められている。
東レの工場をはじめとする企業の施設や公共施設、文教施設が中心でその周辺に社宅や住宅街が広がっている。商業施設は南口側に比べると少ない。駅前広場は南口と同様にツインロータリー方式である。東側は一般車専用、西側はバス・タクシー専用。
北口交差点から西に少し歩くと歩道に長泉町のカントリーサインが立てられている。下記施設のうち、東レ三島工場や静岡銀行三島駅北支店は長泉町に所在する。
北口前にあった三共三島工場が2003年に平塚工場に移転統合されたことに伴い、その跡地を利用した駅前の再開発事業が行われ、駅前広場のリニューアル、大学や高校などの教育機関、ビジネスホテル、出版社などの建設が行われた。
南口バスターミナルには、東海バス、伊豆箱根バス、富士急シティバス・富士急モビリティ・富士急バス・富士急静岡タクシー、WILLER EXPRESSが乗り入れている。行先は主に三島市街や沼津・裾野方面であるが、御殿場プレミアム・アウトレット、富士急ハイランド、松崎などの観光地や東京方面(渋谷駅・新宿駅・羽田空港など)への直通便もある。停留所名は「三島駅」または「三島駅南口」で、のりばは1番から6番まである。
北口にもバスターミナルがあり、一部の一般路線バスや東京・京都・大阪方面への高速バスが発着する。停留所名は「三島駅北口」で、のりばは1番から5番まである(現在5番のりばは送迎バスのみ発着)。下表に示す路線バス以外にも、企業やホテル、ゴルフ場などの送迎バスも多く発着する。
※新幹線の停車駅および特急「踊り子」の停車駅は各列車記事を参照のこと。
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