グフイグナイテッド (GOUF IGNITED) は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の有人式人型ロボット兵器の一つ。
プラントの軍事組織「ザフト」にて同時期に開発されたザクウォーリアとの主力機選定争いに敗れたが、戦況の拡大に伴い再評価され量産化された。剣や鞭等の接近戦に特化した武装を持ち、背部には高速巡航・大気圏内飛行のための主翼と推進器を有する。劇中では同軍のエースパイロットであるハイネ・ヴェステンフルスが搭乗するオレンジ基調のカラーリングの試作機がはじめに登場し、その後量産されると、同軍の一般パイロットが搭乗する青基調のカラーリングの量産機や、イザーク・ジュールが搭乗する白基調のパーソナルカラーの専用機といった多数の機体が登場する。
劇中では主に「グフ」と呼称されている。さらに、「イグナイテッド」は西川貴教(ハイネのキャラクターボイスを担当)が歌う本作のオープニングテーマ曲「ignited -イグナイテッド-」が由来となっている。
メカニックデザインは大河原邦男であり、そのデザインは宇宙世紀世界を舞台とする『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍の「グフ」を参考にしている。ただし、グフが当初陸上戦に特化したMSとして登場しその後に飛行試験型が開発されたのに対し、グフイグナイテッドは当初から大気圏内での飛行能力を有している。
本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。
デザイナーの大河原邦男は雑誌記事において、元々スレイヤーウィップはワイヤー式でデザインしていたが、監督の福田己津央の意向から『機動戦士ガンダム』に登場したグフのような太い鞭になったという。また、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場したグフとの差別化に苦労したという。
さらに、福田がインタビューで語ったところによれば、西川貴教がハイネ・ヴェステンフルス役に決定した折に「何に乗りたいか」と尋ねたところ、彼から「グフがいい」という返答が返ってきたことにより、本機が生まれたという。また、制式量産機としての側面が強かったザクウォーリアと比べ、グフイグナイテッドを後々まで引っ張る予定は元々なかったため、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』におけるグフはファンサービスとしての意味合いを強くし、汎用性の低い機体設定となった旨を福田は語っている。
ザフトのニューミレニアムシリーズに属する機体。背部に固定装備されたフライトユニットは主翼にもスラスターを持ち、速度こそ劣るものの大気圏内においてディンに匹敵する飛行能力を発揮する。また、武装は近接戦闘用の物を中心に装備している。
元々はザクウォーリアと同時期に開発され、ザフト軍の次期主力MS選定コンペティションにおいて制式量産機の座を争った機体であった。グフは両腕と両脚を容易に換装できる機体構造を有し、多種多様な機能・武装を搭載した四肢を状況に応じて付け替えることであらゆる状況・用途に対応するという、ザクウォーリアのウィザードシステムとは異なる案の換装システムを提案した。この方式はウィザードシステム以上に戦況・戦場の変化にきめ細かく対応できるとして優位性をアピールしたが、コストと整備現場の負担増を招くという指摘から却下され、ザクウォーリアが次期制式量産機に決まった。しかし機体性能そのものはザクウォーリアを凌ぐ完成度の高さであり、それを惜しんだ上層部の根強い力添えで少数ながらロールアウトされることとなり、まず試作機としてハイネ・ヴェステンフルスをはじめとする特務隊「FAITH」や「ザフトレッド」といった最上級のエースパイロットに優先的に配備された。この際には「ZGMF-X2000」の型式番号を付与され、パイロットに合わせて独自のカスタマイズが施された。
その後、戦況の予想外の拡大・長期化により、開戦当初保有していた機体数が想定以上に減少し、加えてザク系統の生産体制が限界に達していたこと、主戦場が地球に移行していたこともあり、大気圏内外での空戦能力を持つ本機が急遽量産機として試作機と同仕様で生産されることとなった。この際、試作機扱い故の「X」が外され、「ZGMF-2000」として制式化がなされている。格闘性能では伍する機体が少なく、ザムザザーやユークリッドのような陽電子リフレクター搭載機が増えた戦争末期においては有効なMSとなった。機体名の「グフ」は「Guardian Of Unity Forerunner」(統一の守護たる先駆者)の略。
地球連合軍から解放された都市ディオキアにおいて、ラクス・クラインに扮したミーア・キャンベルのライブ用にピンク色に塗装されたザクウォーリアを伴い、ハイネ搭乗機がディンと共に地上へ降下した。その後、ハイネ機はハイネとともにミネルバへ配属された。
ダーダネルス海峡での戦闘では地球連合軍のウィンダムやオーブ軍のムラサメを多数撃破し、ステラ・ルーシェのガイアに肉薄したが、キラのフリーダムが介入したことで戦闘を一度中断。標的をフリーダムに変えドラウプニルで応戦するが、高い機動力を活かしたフリーダムは全て回避、逆にドラウプニルのある右腕を破壊されてしまう。そしてフリーダムの攻撃によって怒りに満ちたステラがガイアのビームブレイドを展開し突撃、フリーダムに向かって接近していた本機が2機の間に入る形で背後からビームブレイドを受け、胴体を両断され爆散した。
アスランがメイリン・ホークと共にジブラルタル基地から脱走する際は、量産化され配備されたばかりの本機を奪取し基地からの逃走を図るも、追撃のため発進したシン・アスカのデスティニーとレイ・ザ・バレルのレジェンドに追いつかれ交戦、2機の挟撃に遭いながらも必死の応戦を試みた。しかしアスランの技量をもってしても量産型の本機と最新鋭の特別機2機との性能差は埋められず、アスランの説得とレイの言葉との間で板挟みになったシンが正気を失ってSEEDを発動、スレイヤーウィップで反撃するも回避され、逆にデスティニーの掌部ビーム砲パルマ・フィオキーナで破壊されてしまう。続けてシールドごと左腕を真っ二つにされたのち、右腕も斬り落とされ、最後はアロンダイトによる一撃で胴体左を貫かれ、機体は海に落下すると共に爆発した。
その後、ヘブンズベース攻防戦、地球軌道上でのエターナル襲撃戦、オーブ侵攻戦、ダイダロス・レクイエム攻防戦、メサイア攻防戦に次々と投入されるが、オーブ軍・クライン派や地球連合軍のMSには撃墜描写もあれどエース機にはことごとく破壊され、エース機相手にも一定の活躍があったハイネ機とは違い一般パイロット搭乗機は終止「やられ役」として描写された。
ジュール隊指揮官を務めるイザークもスラッシュザクファントムからホワイトを基調とした塗装をまとった本機に乗り換え、隊員のディアッカ・エルスマンが搭乗するブレイズザクファントムとともにレクイエム攻防戦で多大な戦果をあげた。なお、オーブ侵攻戦では赤色のライン、『FINAL PHASE 最後の力』『FINAL PLUS 選ばれた未来』などのエンディングには、金色のラインの装飾を施されたグフが見られた。
模型雑誌『月刊ホビージャパン』の連載企画である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV』において登場した。
メカニックデザインは大河原邦男が担当。設定された装備類のアイデアはハンマー部に設定担当の森田繁、万力にはホビージャパン編集部のものが汲み取られている。また、当初のイメージソースはアニメ作品『蒼き流星SPTレイズナー』に登場する「ガッシュラン」が元となっている。
小説作品『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY B』に登場。エルザ・ヴァイスが登場するカスタム機。足裏に5輪式のローラーを備えた専用脚部に換装し走行が可能となっている。右足には左腕と同機能のインパクトバイス、左膝には刺突用の大型ランスを装備する。換装作業は「一族」の施設で行われたが、この装備がザフトの正規品なのか、「一族」の独自開発なのかは不明。
『月刊ホビージャパン』の模型連動・フォトストーリー企画『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R』に登場。同紙のモデラーである鈴木政貴が製作し、『月刊ホビージャパン』2013年12月号に掲載された作例に設定を付加させたものであり、作品中のジオラマにおけるスチル写真もその作例が用いられている。
ストーリー文中ではカレトヴルッフの装備が確認できる。作例ではシールドにカレトヴルッフを装着し、シールドスパイクやランスへの可変が可能なほか、手持ち式の実体剣も製作されている。また、背部にはビームマントも装備する。
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