『ゲゲゲの鬼太郎』(ゲゲゲのきたろう)は、水木しげるの同名の漫画作品を実写映画化した日本映画作品。
主人公の鬼太郎の外見年齢が青年に設定されているなど、原作との相違点がいくつか存在する。なお、鬼太郎役はウエンツ瑛士が演じた。過去に実写として製作された作品は2作あるが、劇場公開用映画として製作されたのは初である。
ストーリーは、原作「天狐」「妖怪大裁判」「妖怪列車」の3エピソードをベースにしつつ、人間の少女と鬼太郎の淡い恋路などの要素を織り交ぜたオリジナルストーリーとなっている。
2005年に松竹により製作が発表された。この席では監督は堤幸彦で2006年の公開と発表され、鬼太郎役のイメージはウエンツではなく堂本剛であると語られている。
撮影は、2006年の5月と6月の2か月に渡って行われた。妖怪は実際に俳優が演じているが、目玉おやじや一反木綿、ぬり壁などの人間がそのまま演じるのが不可能な役はVFXによって再現され、著名人が声をあてている。特に歴代目玉おやじの声をあてた田の中勇はアニメ版や過去の実写作品まで全てで声をあてることになった。
ゲゲゲの森。そこでは鬼太郎をはじめとする妖怪たちが暮らしていた。
茶谷建設が強引に建設を進めるレジャーランド計画によって立ち退きを迫られている近くの団地では、妖怪が出現して転居を拒む住民を脅かしていた。それは茶谷建設に雇われて強引な住民対策を行っていたねずみ男が手引きをしていたのだった。団地に住む少年・三浦健太は鬼太郎に手紙を出して助けを求める。
鬼太郎に悪事を悟られたねずみ男は退散するがその帰り道、ねずみ男は廃墟の稲荷社殿の地下で光り輝く謎の石を見つけ、宝石と思い質屋に売ってしまった。だが、その石こそ邪悪な妖怪や人間の怨念が凝縮された「妖怪石」だった。さらには質屋が目を離した隙に、たまたま店を訪れていた健太の父が石の魔力に拐かされて石を盗んでしまった。石を管理していた妖狐一族の空狐は怒り狂い、配下の気狐を従えて石の在処を追う。しかし空狐の本心は、これを機に石の力を使って人間を支配しようという魂胆だった。
善と悪、様々な妖怪たちを巻き込む鬼太郎の史上最大のピンチの戦いが今、始まろうとしていた。
ストーリーの大枠は映画版に準じているが、物語中のエピソードや最後のオチのつけ方など映画と異なる部分も少なくない。
本来、鬼太郎は母岩子の遺伝(または、誕生時に血液銀行の水木行員によって墓石に投げつけられた際に左目を失明)で左目は四谷怪談のお岩のように潰れている、というのが一般的定説である。ところが、実写映画では両目を見せるカットが複数ある。特に髪の毛針を全て撃ち切って丸坊主になるシーンでは両目をはっきりと見せているなど、カメラアングルミスなどでうっかり左目が映り込んでしまったという類のものではないことが分かる(原作では、片目の穴に目玉おやじが入って両目、という設定もあるが)。そのため、共演者の井上真央からバラエティ番組で「鬼太郎には両目があった」と公言されてしまった。
2作目公開後に行われた1作目の上映イベント(監督・プロデューサーによる生解説)で両目を映した謎が明かされた。監督曰く、「実写で片目が無いと不気味過ぎると思ったから」。撮影当初は片目が無い設定できちんと隠して撮影していたが、途中から変更したらしい。
子なき爺の台詞は、役を演じる寛平の話し方に合わせて関西弁となっている。
そば屋店主役の竹中は1985年にフジテレビ系で放送された『月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎』でねずみ男を演じており、本作品は竹中の強い希望があっての出演で、あえて本作品からねずみ男を演じる大泉と絡みのある役どころとなった。
脚本はシナリオ雑誌などで公表されているが、公開作とは大枠こそ共通しているものの細部や結末が大きく異なっている。
前作に引き続き鬼太郎役はウエンツで、鬼太郎ファミリーも全員前作と同じキャストが続投。前作では漫画らしさを意識して作られた鬼太郎のかつらや猫娘の衣装が変わり、映像も暗めのトーンで一貫しているなど、より雰囲気を原作に近づけて写実的にされた。ヒロイン役に起用されたのは北乃きいであった。
原作の複数エピソードがベースとなった前作とは違い、本作品は原作の設定やシーンをモチーフにした描写はいくつかあるが、完全オリジナルストーリーである。
企画は前作公開の次の日から始まり、撮影は2007年12月から2008年3月まで行われた。
なお、ぬらりひょんの役を演じた緒形拳がこの公開直後の2008年10月5日に71歳で死去したため、緒形の映画出演としてはこれが遺作となった。また、目玉おやじの声を1968年のテレビアニメシリーズ第1作から長年演じた田の中勇もこの翌年3月まで同シリーズ第5作で担当し続けたが、2010年1月13日に死去したためアテレコでも実写映画に出演したという意味で最後の作品となってしまった。
興行収入は前作よりダウンしてしまい大ヒットとは言えなかった。
1000年前に起こった悲劇と鬼太郎の誕生からすべては始まった。
聞くと死んでしまうという「かごめ歌」を聞いてしまった少女・比良本楓を鬼太郎たちが助けようとする。妖怪・濡れ女によって手にウロコができる呪いをかけられ、48時間以内に呪いを解かないと楓は死んでしまう。鬼太郎たちは楓を襲う悪霊の呪いを封じるための儀式「護人囃子の儀」を行うため、篳篥など五つの古代楽器集めに奔走するが、やがて千年前の濡れ女の悲劇を聞かされる。人間の海人に恋をし、人間となって夫婦と結ばれ、子どももできたが、妖怪であると知った村人たちが「鬼道衆」として二人の仲を引き裂き、濡れ女を封印。「鬼道衆」の末裔の楓は封印を解かれた濡れ女から呪われたのだ。先祖の話を知った楓は激しく動揺。
「幽霊族」である鬼太郎も先祖が人間に滅ぼされたという事実をぬらりひょんから聞かされて動揺。目玉親父も隠していたのだった。それでも人間たちを妖怪たちから守ろうと決意。異国の妖怪である夜叉から攻撃を受け、猫娘も倒れる。絶体絶命のピンチで鬼太郎たちはぬらりひょんの怨念ゾーンへ行き、楓は濡れ女に人間たちを信じて欲しいと訴える。鬼太郎の力で甦った海人と再会を果たした濡れ女は海人の真実の愛を知る。人間の怨念から生まれた妖怪ガシャドクロは鬼太郎と楓の力の前に倒れ、楓も現世へと戻る。鬼太郎への恋心が芽生えた楓だが、最後は鬼太郎に別れを告げるのであった。
本作品の脚本家自らが手掛けたノベライズ。夜叉の章やエピローグ部分などノベライズのみの書き下ろしの章がある。
今作では前作での鬼太郎の片目の謎が明らかになっており、実は義眼をつけていた設定である。このアイデアは原作ファンであり今作に出演している佐野史郎の提案によるものであった。鬼太郎が目の辺りから義眼を外し、また多くの義眼をコレクションしているシーンがある。
パンフレットには、京極夏彦と佐野史郎の対談が掲載され、本作品および鬼太郎というキャラクターの可能性について熱く語られている。また、京極は作中にも鬼道衆の頭目役でカメオ出演している。
パンフレットによれば、フルCGで登場するガシャドクロが女性という設定であり、理由は100人の女性の魂で復活したからである。
ウエンツは、下駄履きで左目が見えないというアクションに不向きなスタイルだったが、持ち前と勘の良さでスタントなしにこなした。1000年前のシーンで濡れ女が海に入るシーンは寺島しのぶが自ら12月の海に入って撮影が行われた。さとり役の上地は身に付けている物が30キロくらいあったらしい。それでも本番ではしなやかなアクションを見せた。
2015年12月4日、同年11月30日に死去した水木の追悼企画としてフジテレビ系列の『金曜プレミアム』で放送された(21:00 - 23:22。解説ナレーター - バッキー木場)。
- この一覧には映画ゲゲゲの鬼太郎シリーズに登場した重要キャラクターたちを含む。
- セルが灰色の部分はその作品に未出演、または出演未定の俳優である。
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