選挙特別番組(せんきょとくべつばんぐみ)は、報道機関が選挙の行われた当日の夜に放送する開票速報を放送局が特別番組で報道する報道特別番組の一種である。総合編成放送局及びニュース専門局の大半が放送する。また、基本的な構成はどの国も同じであるケースが多い。
選挙を取り仕切る団体(選挙管理委員会など)からの情報や出口調査や世論調査などの事前情勢取材を踏まえて放送する。工夫を凝らした3DCGで分析や解説を行ったり、司会には放送局の「報道の顔」や著名人が担当するのが一般的である。
衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙においては各局共長時間の番組が編成される。選挙特別番組は投票当日の20時の数分前(以下全てJST)から翌日未明まで数時間に渡って編成され、長時間に渡るため「第1部」・「第2部」と数部構成がとられるケースが多い。また、投票日翌日午前中に選挙特別番組が編成されることもあるが、通常の報道・情報番組の特別編成という形がとられるケースが多い。
国政選挙の場合、投票当日の20時数分前から番組が開始され最終的な推定投票率などが報道される、そして、最終の投票締め切り時刻である20時丁度に各局独自の出口調査による「議席予測」を出している。これは1957年に日本テレビ系列が開始したもので、数値に上下一定の幅を持たせて報道されることもある。現在では全議席確定までインターネットに議席予測が表示され、比較できる様になっている。地上デジタル放送に移行後はデータ放送連動で開票速報や議席予測が随時更新されるようになる。性格上、各局似たりよったりの構成になることが多い。
NHKでは通常のニュースと同じく、アナウンサーと解説者が状況を説明している。民放各局では、仮に野党が与党になったらどうなるかの再現ドラマや、招いたゲストのコメントを聞いたりなどのコーナーを設けている。
1980年代には日本テレビとテレビ朝日が久米宏を起用したり(『久米宏のTV選挙スクランブル』『久米宏の選挙ステーション』)、フジテレビ系列がお笑いタレントを起用してバラエティ番組の要素が取り入れられた。1990〜2000年代はプロ野球中継などスポーツ番組と組み合わされるケースが多かった。
2010年代には、テレビ東京がNHK出身の池上彰を司会者に迎え、複雑な選挙制度をわかりやすく説明したり、タブー扱いされてきた公明党と創価学会の関係性にも踏み込むなど、他局と異なる構成の番組を放送し、テレビ東京が度々民放視聴率1位を獲得していた。以降、各社もこぞってタレント起用をしたり、トークバトルをやらせたりするようになった。
首都圏以外の民放系列局における衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙における開票特番では、原則在京キー局発の内容を放送するが、合間で地元選挙区の情報を伝えるため、地元発の特別番組に差し替えすることがある。主に平日夕方の報道・情報番組のメインキャスターが、特別番組を担当することが多く、中にはその番組のテイストを活かして構成することも多い。
基本的に出口調査発表後しばらくしてから各局で差し替えを開始するが、流動的な選挙特番においては切り替わりが唐突になることが多い。深夜には大勢が判明し、当選者がスタジオにかけつけたり選挙事務所から中継で出演して今後の抱負を語ったりキャスター・記者・コメンテーターとの討論も行なわれる。そのため、キー局番組の途中であってもネットを中断もしくは再開することになる。また、その差し替えの間に全国のネットスポンサークレジットの入れ替えがある場合は自局でクレジットを送出することがあり、そういった意味では企画ネットが部分的に容認された番組とも言える。
差し替えの度合いは地域によってまちまちだが、選挙区の数が多くなればなるほど頻度が高く大都市圏の系列局が目立つ。顕著なのは在阪準キー局であり、毎日放送・関西テレビ・読売テレビ・朝日放送テレビでは特番のほとんどの枠を自社発に差し替えて、関西地方(徳島県を含む局あり)の情報を伝える。キー局の番組のネット受けは、冒頭の出口調査結果や党首インタビューなどごくわずかにとどめている。大勢が判明する深夜0時頃からは、キー局番組中心の構成となる。概ねこの時間帯でキー局側も内容を切り替えることが多い。
ラジオは系列局ではTBSラジオ発の放送を受けることが多く、その一部を差し替えているか、すべてを自社制作とし地元の情報を伝えながら全国の情勢をフォローするか、自社制作に内包しながら党首インタビューのみを受けるパターンもある。その一方で、日曜日は編成上番組の変更ができないことからやむを得ず、差し替え可能な枠のみを特番とする例もある。
また、ラテ兼営の場合、ラジオ・テレビ同時放送を行う場合もある。
衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙とは異なり、国会議員の補欠選挙や都道府県及び市区町村での首長選挙や議会選挙では、一部の番組を差し替えて放送したり、5分程度の番組枠(主にスポットニュース枠や天気予報枠・番宣番組枠)や週末最終ニュースのローカル枠(通常関東ローカルのニュースをそのまま放送している系列局で実施)、画面上部にニュース速報として放送したり、L字放送を実施している場合が多い。
テレビ放送のみならず、各社の公式チャネルのライブ配信で行う場合もある。これは特に地方選で多く見られ、20時前後から配信する。
など多数
各放送局の長時間特番と開票特番が放送中に被り、開票特番のスタートが遅れたケースが過去幾度かある。 なお、巨人戦ナイター中継と選挙の開票速報が重なった場合は『選挙&ナイター』としてナイターの試合終了まで特別な画面(L字型画面)で放送されている。但し、ナイターの中継権はビジターの場合対戦球団の中継権のある放送局が担当している(東京ドーム主催試合は日本テレビ系列が担当)。
フジテレビ系列が「ハッピーバースデー!超豪華90分スペシャル」を19:30 - 20:54に編成したため、開票特番は20:54からスタート。「ハッピーバースデー!」放送中は20時前に出口調査の発表で中断した後、20時台以降をL次画面化して放送した。
テレビ朝日系列が「世界水泳選手権福岡大会」の競泳競技決勝と放送枠が被り、競泳競技を挟む形での開票速報を余儀なくされた。さらに開票速報中に「全英オープンゴルフ」の衛星生中継を挿入させなければならないため地域によっては全英オープンの模様を放送せずローカルで開票速報を伝えていたため視聴者からの抗議や苦情電話が相次いだ。またこの日は最終日だったため全選手がホールアウトするまで中断できず、従来『選挙ステーション第2部』に当たる当選議員と田原総一朗との討論は同月30日のゴールデン特番で放送された。
フジテレビ系列が1987年より毎年放送している『FNS27時間テレビ』と放送枠が被り、21時15分にステブレなしで開票速報特番へ突入する編成を行った(19時58分〜20時15分頃に出口調査の結果を伝えるため『27時間テレビ』を中断していた)。なお、フジテレビ系列と日本テレビ系列のクロスネット局であるテレビ宮崎(UMK)は21時15分までフジテレビ系列の開票特番を編成した後、21時15分から日本テレビ系列の開票特番に途中から飛び乗りしていた。
イギリスではBBCが大型のセットを使い選挙速報を放送している。ITNやSky Newsと共同での予測が行われる。
朝鮮中央テレビにおいて全国の結果と割合のみを放送する。
IBAが選挙締切からのカウントダウン及び、予測を放送している。
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