第43回衆議院議員総選挙(だい43かいしゅうぎいんぎいんそうせんきょ)は、2003年(平成15年)11月9日に日本で行われた国会(衆議院)議員の総選挙である。
21世紀初の衆議院総選挙となった。
自由民主党と公明党、保守新党の与党3党で絶対安定多数を維持したものの、自民党は10議席を減らし、与党全体としては12の議席減となった(選挙後に保守新党は自民党に吸収されたため、自民党は単独過半数は確保している)。
対する民主党は大幅に議席を増やし、177議席を獲得。177議席は、自民党以外の政党の議席としては1958年の第28回衆議院議員総選挙における社会党の166議席を上回り過去最大となった。
その一方で日本共産党と社会民主党は、いずれも解散時の議席を大きく減らし、自民党と民主党による二大政党制の色合いが強くなった。
神奈川県出身首相の下で行われた初の衆議院総選挙であった。戦後、2022年までに関東地方出身の首相の下で行われた衆議院総選挙は、本選挙の他に1983年の第37回衆議院議員総選挙と1986年の第38回衆議院議員総選挙(ともに中曽根康弘)、2005年の第44回衆議院議員総選挙(本選挙と同じ小泉)、2012年の第46回衆議院議員総選挙(野田佳彦)がある。
1994年の小選挙区比例代表並立制導入後初めて小選挙区の定数変更が行われ、小選挙区の改選数は前回と同じ300ながら北海道・山形県・静岡県・島根県・大分県の5県で定数が削減され、埼玉県・千葉県・神奈川県・滋賀県・沖縄県の5県で定数が増加した。
もともとは同年の青森県知事選挙に立候補するため辞職した議員の欠員補充となる、青森県第2区補欠選挙が同年10月に実施される予定であったが、衆議院解散が行われたためこの補欠選挙は中止になり、別に欠員が生じていた参議院埼玉県選挙区の補欠選挙のみが同年10月に実施された。
自由民主党では2000年の第42回衆議院議員選挙から、比例区の立候補者について、選挙時に73歳以上の候補者は原則として公認しない(ただし、小選挙区のみの立候補は妨げない)とする、いわゆる「73歳(比例)定年制」を導入していたが、中曽根康弘・宮澤喜一の内閣総理大臣経験者両名に対しては特例で対象外とし、それぞれ比例単独での立候補を認めていた。
しかし今回の選挙では、小泉純一郎が中曽根・宮澤の両名にも比例区の73歳定年制を適用する方針を表明した。83歳の宮澤は当初難色を示しながらも要請に従い政界から引退したが、その一方で85歳の中曽根は以前に比例区単独候補へ転出する際に、当時の党総裁であった橋本龍太郎から比例北関東ブロックの「終身1位」の保証をされていた経緯もあり、頑強に抵抗して話題となった。
結果として中曽根はこの衆院選の立候補を断念し、またこの選挙で鹿児島県第5区から立候補して当選した山中貞則が翌年死去したことにより、55年体制以前に当選した現職議員は姿を消すこととなった。
結果は、前回の選挙と比べ与党側は議席減は抑えられ、与党全体で12議席減の275議席で連立の枠組みを維持することとなった。
自民党は前回選挙以降、途中入党者などで14議席を回復し247議席に戻していたが、この選挙では公示前から10議席減となる237議席となり、人気重視で党の顔となった小泉純一郎総裁・安倍晋三幹事長の体制でも大幅な党勢回復までは至らなかった。地方では堅調な戦いを見せた反面、引き続き大都市部での苦戦が続いており、前回のような現職閣僚の落選はなかったものの、小泉の盟友とも言える「YKK」の一人であった副総裁の山崎拓のほか、元内閣官房長官の村岡兼造、元総務庁長官の太田誠一といった不祥事や舌禍が影響したベテラン議員が落選している。その一方で「YKK」の一人で、自身の秘書の不祥事により議員辞職していた加藤紘一は無所属で立候補して返り咲きを果たし、その後自民党へ復党している。
前回7議席減であった公明党は公示前から3議席増やし34議席に回復した一方で、民主党を離党した熊谷弘らと共に保守党を一度解党したうえで新たに結党し連立に加わった保守新党は殆ど支持を伸ばすことが出来ず、代表の熊谷が落選するなど公示前から5議席減らす4議席と惨敗し、選挙後に自民党へ合流することとなった。
一方、いわゆる「民由合併」を経て野党第一党として衆院選に臨んだ民主党は「政権交代」を明確に打ち出し、大都市部で議席を積み重ねて公示前から40議席増やす177議席を獲得し躍進した。比例区の総得票数では自民党を上回り、11の比例区ブロックのうち5ブロック(北海道・南関東・東京・東海・近畿)で自民党の獲得議席数を上回った。この躍進により二大政党制が現実的なものとなった。
反面、共産党は前回に続き公示前から11議席減らして9議席となり、さらに党勢を後退させた。前回の選挙で回復傾向がみられた社民党も民主党の躍進に隠れる形で支持が伸び悩み、党首の土井たか子が小選挙区で落選し比例復活で辛うじて議席を得るなど、公示前から12議席減らして6議席に留まる惨敗を喫し、土井は党首を引責辞任した。
無所属の会も渡部恒三のみの当選に留まり、前回大量擁立を行った自由連合は代表の徳田虎雄のみが立候補し、当選している。
自由民主党 民主党 公明党 保守新党 社会民主党 諸派 無所属
民主党 自由民主党 公明党 社会民主党 日本共産党
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