れいわ新選組(れいわしんせんぐみ、英: Reiwa Shinsengumi)は、日本の政党。略称はれいわ。
2019年4月1日に元俳優で当時参議院議員であった山本太郎が設立した政党である。
同年7月の第25回参議院議員選挙比例区で得票率2%を上回り、設立から約3か月半で政党交付金の交付対象となる政党要件を満たして国政政党となった。
2019年(平成31年)4月1日、参議院議員の山本太郎が同年夏に予定される第25回参議院議員通常選挙に向け、自身を含めた複数候補の擁立を目指し設立。10日に結党記者会見を行い党の理念や政策を発表した。
党名は新元号として「令和」が発表された日に届け出たことと、幕末に活動した新選組に由来する。一部で使われている「撰」ではなく「選」にしたのは「新しい時代に新しく選ばれる政党になるため」と説明している。
設立時点では山本は自由党を離党しておらず、記者会見では4月下旬離党予定と説明した(自由党は4月26日に国民民主党に吸収される形で解散。ただし山本自身は任期中の会派離脱は行わず、所属会派としては任期満了まで国民民主党・新緑風会に所属)。
代表に就任した山本は、重度身体障害者、性的少数者(トランスジェンダー)、派遣労働者、コンビニ加盟店ユニオンの労働運動家、公明党の方針に異を唱える創価学会員など、社会的弱者を中心に第25回参議院議員通常選挙候補者を公示日前日までに9人擁立した(後述)。そして、山本自身は東京都選挙区から比例区に移り、かつ比例区特定枠に重度身体障害者2名を選ぶことによって背水の陣を敷いた。理念が共通すれば、党派を超えて地方の他党候補者の応援演説に入るなど、異色の街宣活動の模様はSNSや動画投稿サイトなどを通じて拡散され、フォロワー数、登録者数は連日増え続けた。寄付金も7月11日に3億円を超えた。
山本は政見放送で「死にたくなる社会から、生きていたい社会に」と呼びかけ、動画サイトでの再生回数は時の首相安倍晋三が出演した自民党の政見放送の13万回を上回る84万回(7月19日時点)と報道された。
しかし、このように話題性に富んだ状況だったとはいえ、れいわ新選組はいわゆる「諸派」であったことなどから、大手メディアに取り上げられることは少なかった。7月13日発売の週刊誌が「テレビ・新聞が黙殺する山本太郎とれいわ新選組」と題する記事を載せ、現状を報じると、わずかにテレビ朝日が7月15日朝の情報番組で野原善正(東京都選挙区)の公明党批判などを紹介した。7月17日、ロイターは、重度身体障害者が比例区特定枠に擁立されたことに注目し、これを記事にした。
7月18日には毎日新聞が、「メディアもあまり報じない山本太郎さん率いる政治団体『れいわ新選組』」という前置きから始まる記事を、7月20日には東洋経済オンラインが「大手メディアが無視する『れいわフィーバー』」と題する記事を配信した。選挙戦後半、れいわ新選組は、「放送禁止物体」と自ら称するまでになった。
選挙期間中の「れいわ祭」と称した街頭演説会には聴衆が数千人集まり、歓声があがる盛り上がりを見せ、Twitterでは「#比例は山本太郎」といったハッシュタグや政策がトレンド入り、山本代表の各地の街頭演説の動画が大量にリツイートされるなど、SNSと街頭演説での熱気は「社会現象化」、「れいわフィーバー」、「れいわ旋風」などと評された。「れいわ新選組/れいわ旋風」は2019年11月6日に発表された、「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語にノミネートされた。
7月21日の投開票の結果、比例区特定枠の舩後靖彦と木村英子が初当選。党全体で2,280,253票、山本は当選者を含めた比例区の全候補者の中で最多の991,756票を得るも、3議席を得る得票数に至らず落選した。
しかし、政治団体が政党として扱われるために必須となる公選法上の政党要件となる比例の得票率2%をクリアし、結成から3か月で政党として扱われることとなった。政党要件がない諸派が比例代表の議席を得るのは、2001年の非拘束名簿式導入以降初の出来事であり、2023年現在、結成から1年経たずに政党となったのはれいわ新選組のみである。比例区での得票数も社会民主党を大きく上回り、国民民主党に次ぐ4.5%に達している。
また選挙では党首である山本が第23回参議院議員通常選挙の東京都選挙区に無所属出馬した際の得票数(66万6684票)の3倍以上となる約228万票を政党が獲得し、政治家としてより大きな支持を集めることとなった。選挙後、公式サイトで自身や候補者全員の当選が達成できなかったことを反省点とした上で、「山本太郎としての議席は失いましたが、れいわ新選組としては大躍進です」と支持者に謝意を表明した。
その躍進から他の野党の関心を得ることとなり、参院選の翌日になると、日本共産党の志位和夫委員長が方向性の近さを理由に共闘を呼びかけ、立憲民主党の枝野幸男代表は「連携できればありがたい」、国民民主党の玉木雄一郎代表も「早いうちに一度お話をさせていただきたい」と語った。
2019年参院選後、山本は次期衆院選に向けた野党連携に対し、「消費税5%への引き下げを共通の政策に掲げたい」と述べ、消費税率の引き下げで主要野党と合意できない場合は「単独でも(選挙を)できるような態勢を作っておくべきだ」とも語った。また、選挙戦で掲げた「原発即時禁止」については、「そこに強い打ち出しを持ったら、多分、野党全体で固まって戦うことが難しい」と指摘し、「電力系(の支持層)の力を借りながら議席を確保している人たちもいる」とも述べ、野党共闘の条件とすることには慎重な姿勢を示した。
2019年10月30日に山本は馬淵澄夫衆議院議員と共同で「消費税減税研究会」を設立した。山本の減税に向けた動きに対して共産党は政策合意を行ったが、旧立憲民主党は党所属議員の研究会への参加を党幹部の承認制にするなど、事実上の締め付けを行った。山本は消費税減税に消極的な旧立憲民主党に対し、「消費税率5%が飲めないなら、古い政治と新しい政治との衝突だ。新体制を目指す政治勢力の拡大に向け、勝手にやる」と述べ、12月末には消費税減税で野党が纏まれない場合、100~131人の公認候補を擁立する考えを示した。
2020年の東京都知事選挙では山本が党公認で立候補した。亀井静香、嘉田由紀子、山田正彦、須藤元気らの応援があった。この選挙では立憲民主党や共産党、社民党はすでに弁護士の宇都宮健児を支援する方針を決めており、野党間の主導権争いに直結する状況となった。山本は消費税の5%への減税を次期衆議院議員選挙での野党の共通政策にすることを求めたが、受け入れられず野党統一候補としての立候補が破談になったと説明した。また、山本の立候補には新型コロナウイルスの感染拡大で、得意としてきた街頭活動が自粛となったことによる党の存在感低下への焦りも背景にあると報じられた。7月5日の投開票の結果、現職の小池百合子が366万票を獲得し大差で当選。宇都宮は84万票、山本は65万票にとどまった。
7月3日、れいわ新選組の党員で前参院選の立候補者だった大西恒樹が自身の動画内で「どこまで高齢者を長生きさせるのか。命、選別しないと駄目だと思う」と発言。これに対し山本は7日に「処分するのは簡単だが、それでは問題は解決しない」「命について真摯に向き合うチャンスを与えたい」「レクチャーを受けていただく」などと具体的処分に言及はせず、対応に批判が集まったため、10日には一転して「除籍に値する」との認識を示した。14、15日に「レクチャー」として大西と当事者との対話、16日に講師を招いて研修が開かれるも、大西は謝罪を撤回し、自身の動画の再公開を行うに至った。党は16日夜に国会内で開かれた総会において大西の除籍を正式に決めた。
9月16日の安倍内閣の総辞職に伴う首班指名選挙においては他の野党と足並みをそろえる形で立憲民主党代表の枝野幸男に投票した。
2021年1月18日には山本が記者会見を開き、次期衆院選について、野党共闘が実現した場合30人、実現しなかった場合50人を擁立する見通しを示し、資金面などを理由に100人規模を目指すとしていた従来方針から下方修正した。また、自身も衆院選に立候補する意向を示したほか、立憲民主党などとの候補者調整を模索する考えも示した。同年の東京都議会議員選挙に向けては5人から10人の候補者を擁立する考えを示し、地方選での党候補擁立に消極的であった従来方針からの転換について山本は、「都知事選には出たが都議選に関与しないのは、矛盾があるという考えが生まれた」と説明した。最終的に都議選には3名の公認候補を擁立したが、7月4日の投開票の結果、当選者を出すことはできなかった。
9月30日、山本は立憲民主党の枝野と初となる党首会談を行い、両党が競合する選挙区で候補者の一本化を目指すことで合意した。また、枝野は岸田文雄が自民党の新総裁に就任したことに伴う首班指名選挙について、自身に投票するよう求め、山本はこれに協力する意向を示した。
10月6日、無所属の高井崇志が入党し、衆議院で1議席を得た。
10月31日、第49回衆議院議員総選挙(10月14日衆議院解散、10月19日公示)の投開票が行われ、代表の山本が比例東京ブロックで当選し国政復帰、その他比例南関東ブロックで22議席中20位で議席を確保、比例近畿ブロックで28議席中最下位の28位で議席を確保し、改選前から2議席増となる3議席を獲得した。一方、比例東海ブロックでは議席獲得相当の票を得たが、重複立候補者が小選挙区で10%未満の得票率にとどまったため、公職選挙法の規定により議席を逃し、次点の公明党に割り当てられた。 この選挙では岩井俊二、島田雅彦らから応援メッセージが寄せられた。山本は選挙結果について「おめでたくとも何ともございません。これからが始まりで大変な道のりだ」と述べたほか、衆参合わせて5議席となったことから、「一人前の国政政党としてスタートラインに立てた」と述べた。
2022年4月15日、代表の山本が衆院議員辞職の意向を表明し、同日議員辞職願を細田博之衆議院議長宛へ提出した。同日に行われた記者会見で同年7月に行われる予定の第26回参議院議員通常選挙へ立候補することを表明した。4月19日、午後の衆議院本会議で辞職が許可された。これにより比例東京ブロック次点であった櫛渕万里(東京都第22区から重複立候補)が繰り上げ当選した。
同年5月20日、山本が東京選挙区からの立候補を発表した。東京選挙区から出馬予定だった依田花蓮は比例区からの出馬に差し替えとなった。
第26回参議院議員通常選挙には、選挙区に代表の山本を含む5人と、比例代表に9人(このうち特定枠1人)の合わせて14人が立候補。山本は、「最大で8議席、最少でも3議席。2019年(前回参院選)に2議席を獲得したから、それを上回る結果が最低でも必要だ」とし、党勢の拡大を図ることを目標に掲げた。また、他党の候補では北海道選挙区の立憲民主党・石川知裕を唯一推薦した(結果、石川は落選)。7月10日の投開票の結果、代表の山本が東京選挙区で当選したほか、比例区で2議席を獲得し、特定枠の天畠大輔とタレントの水道橋博士が初当選し、合計3議席を獲得した。
これにより、改選前と合わせるとれいわの参議院における議席数は、5となり、国会の場において首相に対し直接質問ができる代表質問が可能となる。
同年12月18日、結党後初となる代表選挙が行われ、山本が当選した。19日、山本は櫛渕万里と大石晃子を新設された共同代表に指名した。
2023年1月16日、うつ病の症状により議員活動を休止していた水道橋博士が議員辞職した。これにより個人得票順で次点となっていた大島九州男が翌17日の選挙会で繰り上げ当選となったが、山本は記者会見で「残りの任期を有効に活用したい」として、「れいわローテーション」と名付けて比例名簿登載者のうち個人得票の多い順に5人(大島、長谷川羽衣子、辻恵、蓮池透、依田花蓮)が1年ごとに辞職し、残り任期を5人が交代で務めると明らかにした。この案に対して立憲民主党の安住淳国会対策委員長は「国会議員という身分は重い。1年ごとに代えるのは違和感がある」と疑義を呈したほか、日本大学の岩井奉信名誉教授は「単なる『落選者救済』で、有権者の納得は得られない」と指摘するなど識者や世論から批判も出た。
2023年4月の第20回統一地方選挙では、前半戦となる41道府県議選および17政令市議選では議席を獲得できなかったが、一般市議選では25議席を獲得した。
12月13日、山本は「れいわローテーション」による議員の交代を当面見送ると表明。党関係者によれば大島が辞職に納得せず、合意に至らなかったとしている。
政策としては、「消費税の廃止」を前面に押し出し、「法人税への累進制導入」及び「財政出動」を合わせて訴える。また、「最低賃金1500円(政府の補償付き)」、「奨学金チャラ」、「公務員を増やす」、「一次産業個別所得補償」、「コンクリートも人も〜本物の国土強靭化・ニューディールを〜」、「安い家賃の住まいを」、「辺野古基地建設への反対」、「原発の即時禁止」、「動物愛護」などを掲げる。
ジェンダー政策として、「労働の男女格差をなくす」、「同性婚の合法化と選択的夫婦別姓の推進」、性教育での「現行の性教育には含まれない、オーガズム・性交・多様な避妊方法・生理・中絶といった性に関する事象を発達段階に即して教育するだけではなく、健康な人間関係を築くための情報収集の仕方・意見形成や意思決定の仕方・他者(の価値観)の尊重等を教育」、「子どもを持つことが経済的負担とならないよう、全ての人が不妊治療の選択ができる状況の整備」や、「配偶者の同意を必要としない中絶の権利」や刑法堕胎罪の廃止等を挙げている。
また「ロスジェネを含む、全ての人々の暮らしを底上げ」を訴え、生活保護の切り捨てを批判、セーフティーネットの強化を主張。
安保法(平和安全法制)、テロ等準備罪、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、改定入管法、改定水道法、特定秘密の保護に関する法律など安倍政権下で成立・改定された多くの法律を「トンデモ法」と位置づけ、その見直し・廃止をのほかTPPからの離脱を主張している。
「新規国債の増発」についてはインフレ率を基準として政府支出を調整すべき、という考え方である。なお、れいわ新選組の経済政策・財政は、財務省の過去の言動に基づき、現在の法律で出来る最大限が元であり、MMTではないとする。
れいわ新選組の掲げる反緊縮財政や富の再分配、財政主権などの政策からアメリカ合衆国のバーニー・サンダースやイギリス労働党のジェレミー・コービン、スペインのポデモスのような欧米で台頭するポピュリズムの「日本版」と言われている 。この事に山本太郎代表はインタビューで「右派、左派かなんていうのは、私にとっては重要ではない。それは人をカテゴライズするのに便利で万能なのかもしれないが、はっきり言ってどちらにも興味がない。私は右派でも左派でもなく、フリースタイル」と語っている。さらに生出演した『羽鳥慎一モーニングショー』において「人々を救うということをポピュリズムと言われるなら、そうです私はポピュリストですと言ってやりたいと思います」と答えた。その他、国内外のメディアはれいわ新選組について、反エスタブリッシュメント、進歩主義、経済介入主義などと伝えた。
改憲について、山本太郎代表は、憲法を一字一句変えてはいけない、とは思っていないが、安倍政権・自民党政権による憲法の改正には反対。安保法案が、解釈により憲法を無視して立法されたことは問題であり、そのようなことがなされないよう、日本の領土・領域、そこからは出ないということなどの専守防衛に徹底するなどの9条の改正は将来的には必要、と2019年の記者会見等で述べている。
以下は、同党が「政権とったらすぐやります 今、日本に必要な緊急政策」と題して公表する政策の内容である。
平和安全法制、テロ等準備罪など、安倍政権下で成立・改正された法律の多くを「トンデモ法」と位置づけ、廃止や見直しを主張している。これらの法の廃止・抜本的改正で共闘体制をとる日本共産党、立憲民主党、社会民主党らの野党共闘については「消費税の5%への減税」を共闘条件に定めている。
同じく消費税減税を訴える共産党との二党関係については、2019年9月12日「野党連合政権」構想への呼び掛けに呼応しており消費税の5%への減税を目標とした協力合意を締結した。一方共産党は「5%減税に賛成しなければ、野党共闘を行わないという立場には立たない」とし、消費税減税に慎重的な立憲民主党らとの共闘も維持する方針である。
行政改革・小さな政府を掲げる日本維新の会(大阪維新の会)とは政策を巡り激しく対決している。かつて大阪府知事(当時)の橋下徹に抗議したことで話題となった元大阪府職員の大石晃子や、松井一郎による民事裁判の被告人となった水道橋博士を選挙で擁立し、両者とも当選している。
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反での党首・立花孝志は2021年10月に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会にて、れいわ新選組の政治姿勢に対し「詐欺的な貧困ビジネスではないか。できもしない公約でそういった(経済的に苦しい)方からお金を集めるというのは」と指摘した。それに対して、山本は党の活動に多額の資金がかかるのは事実と認めた上で「N党さんも、NHKぶっ壊せたわけではないですよね」と切り返した。また、水道橋も政見放送で「NHKはぶっ壊さない!」と発言している。
ロゴは新選組の隊旗を模したピンク色の旗のイラストに「れいわ」、その下に手書き文字で「新選組」とあり、その右横に猫の肉球がデザインされている。最下部には、ローマ字で「REIWA SHINSENGUMI」と書かれたものと、ひらがなで「れいわしんせんぐみ」と書かれたものがある。
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