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名探偵コナン 黒鉄の魚影


名探偵コナン 黒鉄の魚影


名探偵コナン 黒鉄の魚影』(めいたんていコナン くろがねのサブマリン)は、2023年4月14日に公開されたアニメ映画で、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第26作目にあたる。

キャッチコピーは「死ぬな、灰原──」「浮かび上がる哀しき過去(シークレットメモリー)。守り抜く想いが結集する─」「沈みゆく真実が暴かれたとき、黒き影が集結する─」「絶体絶命の海洋頂上決戦(オーシャンバトルロイヤル) ミステリーついに開戦──」。

概要

第25作『ハロウィンの花嫁』が2022年4月に上映された際に流された、劇場版シリーズ定番となっている本編終了後の次回作予告では、黒ずくめの組織の登場とシェリー(灰原哀)がキーパーソンとなることが示唆されていた。

2022年11月7日に、劇場版『名探偵コナン』第26作の公開が、YouTubeの東宝MOVIEチャンネルで解禁された「劇場版『名探偵コナン2023』超特報【2023年GW公開】」と題した特報によって発表された。この特報映像は、第25作『ハロウィンの花嫁』のハロウィン再会(リバイバル)上映での本編終了後に突如流された特報映像である。映像は、かつて黒の組織の一員(シェリー)であった灰原哀にフィーチャーされ、再会上映の初日からSNSで大きな話題となった30秒の映像である。また、2023年GW公開であることとともに、映像の最後でタイトルロゴが表示され、サブタイトルの1文字目が"黒"であることも明かされた。

2022年11月30日に、『週刊少年サンデー』2023年1号にて、2023年4月14日公開であることが発表された。タイトル、ビジュアルも解禁され、監督は立川譲、脚本は櫻井武晴、音楽は菅野祐悟が担当することが公表された。

2023年5月8日に、本作の興行収入が100億円を超えたことが発表された。公式Twitterでも100億突破が正式に発表され、原作者の青山剛昌による100億達成を祝う記念描き下ろしイラストが公開された。

黒の組織が劇場版に関わるのは、第20作『純黒の悪夢』以来6作ぶりとなる。また、黒の組織のナンバー2にあたるラムや、赤井秀一、安室透(バーボン)なども登場する。安室と風見裕也が初めて2年連続で劇場版に登場する他、ラムの素顔がアニメに登場するのはTV版に先行して劇場版である本作のPVが初である。また、公開から半年後の10月24日に一城みゆ希が死去したため、一城の演じるジョディが登場する劇場版は本作が最後となった。

9月1日より、「ブラッククロージング」と題して、本作の終映に向けた様々なプロモーション企画が実施された。

劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告は、本作でも放映された。夜景が映し出されると、コナン、怪盗キッド、服部平次の3人の会話が流れ、2024年の次回作の公開が決定した旨が告知された。前作のハロウィン再会(リバイバル)上映と同様に、本作の終映企画「ブラッククロージング」が始まった9月以降の上映では、次回作予告映像が差し替えられた。この映像は東宝のYouTube公式チャンネルにて、「劇場版『名探偵コナン2024』超特報【2024年GW公開!】」と題して公開されている。11月29日発売のサンデー2024年度1号にて、次回作が『100万ドルの五稜星』であることが明らかになった。

ストーリー

ドイツのフランクフルトでキール(水無怜奈)は、ユーロポールのネットワークセンターの女性職員ニーナを追跡しており、ニーナは逃げながら、友人であるFBI捜査官のジョディ・スターリングに電話をしていた。キールは追い詰めつつも密かに彼女を逃がそうとするが、ジンが背後からキールの肩ごとニーナのこめかみを撃ち抜く。日本の米花町ではバーボン(安室透)ベルモットに状況を聞いていた。ベルモットは計画が順調らしいこと、残すは例のシステムで"ある人物"を探すだけだと語り、バーボンは時間の問題でしょうと返した。

コナンは、少年探偵団と一緒に、八丈島のホエールウォッチングツアーが当たるという福引に参加していた。灰原哀は、その近くで配布されていた「フサエブランド」の限定ブローチの整理券、最後の一枚を運よく入手したが、次に並んでいた着物姿の老婦人が残念そうに帰っていく姿を見て譲ろうと追いかけた。しかし老婦人は整理券を受け取らず、灰原は機転を利かせて「実は値段ちゃんと見てなくて、私には高かったから」と嘘をついた。すると老婦人は「まぁ」と驚いて、笑った。探偵団たちはみんな福引で外れてしまったが、灰原が整理券を譲るのを見ていた園子は、そのご褒美として探偵団達をホエールウォッチングに招待する。

八丈島のホテルに向かう車の中で、コナンは八丈島近海にインターポールの海洋施設「パシフィック・ブイ」が建設されたというニュースを聞く。それは世界中の警察が持つ防犯カメラを監視できる世界初の施設であり、責任者の牧野洋輔とシステム開発者の直美・アルジェントが説明していた。その後、ホテルに到着すると沖矢昴(赤井秀一)から電話があり、ユーロポールのネットワークセンターに侵入した人物を目撃した女性職員がジンに殺された、侵入者のコードネームはピンガで髪がコーンロウ、ラムに気に入られていると聞いたことがある、今日このセンターと回線を接続して本格始動するのが、パシフィック・ブイであると知らされる。

その後、コナンらはホエールウォッチングのために港を訪れるが、コナンは近くで警視庁捜査一課管理官の黒田兵衛と白鳥警部が乗った船が出発しようとしているのに気づき、こっそり密航する。船はパシフィック・ブイに到着し、黒田に見つかったコナンは仕方なく同行を許され、黒田らとメインルームでシステムを運営するエンジニア達を紹介される。牧野はコナンや黒田たちが見ている前でユーロポールのネットワークへの接続を指示。巨大モニターに、ヨーロッパ中の警察所管の防犯カメラの映像が映し出される。これで各地の防犯カメラを「顔認証」付きで確認が可能となった。他にも様々な技術が使える、その一つが直美が開発した「老若認証」だ。AIの顔認証による解析と防犯カメラの情報を元に、逃亡者や誘拐の被害者を世界中で追跡できると牧野は語る。

その頃、既に施設内に潜入しているピンガの手引きで、海中ハッチからベルモットとバーボンがパシフィック・ブイに潜入。休憩に出た直美を拉致し、施設外に連れ去った。休憩が終わっても直美が戻らないことを不審に思った牧野達は、監視カメラを解析して直美の動向を調べ、2人組の清掃員らしき人物たちに拉致されたことに気付く。海中ハッチを開閉できる権限を持つのは牧野、直美、エンジニアのグレース、レオンハルト、エド達だけだったため、その中に拉致した犯人達の協力者がいるかもしれないと黒田とコナンは考えた。海中ハッチのログを調べても映像が見当たらず、エドはバックドアを仕掛けられたのかもなと飄々と語った。

直美を拉致したベルモットとバーボンは、ウォッカとキールと合流。組織のボスの命令で、パシフィック・ブイのシステムを通して防犯カメラに映る組織のメンバーの姿や犯罪の様子を隠滅するため、直美を拉致したのだった。ベルモットは、直美が身につけていたネックレスが小型のUSBメモリになっているのに気づき、中身を調べる。中にはかつて組織のメンバーだったシェリーの写真と灰原の写真を並べたファイルが入っており、老若認証の結果が「一致」と表示されていた。これを見たベルモットたちは、ベルツリー急行の爆破で死んだはずのシェリーが、子供の姿になって生き延びていた可能性を考える。ウォッカがこのことをジンに知らせると、ジンは「そっちに合流してから直接確かめる」と言い、システムを利用して灰原を見つけ拉致するよう指示する。

コナンは八丈島のホテルに戻ると、阿笠博士に組織が拉致事件に関わっていることを伝えるが、灰原がそれを盗み聞きしていた。コナンは灰原に、明日少年探偵団らと帰るように伝え、念のためお守りとして自分が持っていた追跡メガネの1号機を渡し、代わりに灰原が持っていた予備の追跡メガネを受け取る。しかしその夜、組織の気配を感じた灰原は一人で部屋を出ようとするが、待ち受けていたウォッカとピンガに連れ去られてしまう。それに気づいたコナンと蘭が奮闘し、蘭はピンガの首に蹴りを食らわせる。その後、コナンは阿笠博士と共に、灰原を乗せたウォッカ達の車を追跡する。しかし、ウォッカ達の車は崖から海へ飛び込んでしまい、コナンも海に飛び込み必死に追いかける。その直後、コナンは海中から組織の巨大な潜水艦が浮上するのを目撃する。灰原の拉致を防げなかったコナンは、博士と共に悔しさを滲ませ、「オレがぜってー連れ戻す」と胸に誓う。

翌朝、コナンは再びパシフック・ブイのコントロールルームに。防犯カメラの映像から、昨夜の潜水艦や阿笠博士の車とウォッカ達の車のカーチェイスの映像を探してもらうが、潜水艦はおろか、阿笠博士の車とウォッカ達の車も映っておらず、コナンは防犯カメラの映像が改ざんされていると確信した。

その後、パシフィック・ブイでレオンハルトが死亡する事件が発生する。防犯カメラの映像を見る限りでは服毒自殺にしか見えないが、コナンはレオンハルトの死は他殺だと考える。さらに、その頃、潜水艦内には灰原と直美が捕えられており、その潜水艦にヘリからジンが合流しようとしていた。灰原から盗聴器を仕掛けられた事を察していた怜奈はウォッカから魚雷発射管の操作方法を尋ねる形で灰原に脱出方法を知らせ、灰原と直美はジンが潜水艦に着いたタイミングで組織の潜水艦からの脱出を図る。脱走を察知したジンの妨害で殺されかかるも怜奈がジンを止めている内に脱出し、水中スクーターで駆け付けたコナンに救出され、パシフィック・ブイで保護される。

事件の真相に気づいたコナンは時計型麻酔銃を小五郎に打って「眠りの小五郎」を発動し、推理ショーを開始する。レオンハルトの殺人はディープフェイクにより自殺に見せかけられたという推理を披露し、灰原と直美を拉致してエンジニアを殺した犯人をグレースだと断定、女性とされていたグレースが実は男性である事も指摘した。灰原を拉致した時に蘭に頸を攻撃された時に付いた痣を黒田に発見されたことが証拠となり、グレースはピンガとしての本性を現す。ピンガは監視カメラに細工をして逃走を図るも、細工を見破ったコナンに追いつかれる。ピンガはコナンの正体を工藤新一と見抜き、憎き相手であるジンの地位を失墜させるためにコナンを連れて行こうとするも、コナンに「ジンもどき」と挑発され怒り心頭になっている内に白鳥と佐藤が到着し、コナンの捕獲を諦めてドアを閉めた。

一方、ベルモットは計画にないことはしないと単独行動へ。ボスに老若認証の危険性を報告してフィリピンに行き、ボスから「つぶせ」と思った通りの命令を受けてから、志保(シェリー)によく似ている人物に変装をして各地の防犯カメラに映り、老若認証は「顔が似ている別人を同一人物と認識してしまう欠陥品」だと報告する。これで灰原=シェリーという疑惑は消滅することになった。ラムはパシフィック・ブイの破壊を決定、ジンは攻撃を開始。牧野はデコイを発動して組織の潜水艦から発射された魚雷に応戦するも、ベルモットの遠隔操作でデコイによる防衛手段も封じられ、黒田に決断を迫られた牧野は技術者たちに退避を指示。パシフィック・ブイは撃沈する。コナンは「組織の潜水艦を赤井に狙撃させる」という無謀な手段を画策し、阿笠の海中スクーターを使って海中に潜るが、そんなコナンの身を案じた灰原もコナンを追って潜水する。赤井に潜水艦の位置を示すため、スクリューに飲まれながらも花火ボールを放つ。組織の潜水艦が光に包まれ海上からもその姿が露になった所を、上空のヘリコプターに乗っていた赤井がロケットランチャーで潜水艦の狙撃を成功させる。

先程のスクリューで殆どの装備を失ったコナンは海中で力尽きていたところを灰原に発見される。灰原はコナンを救うために必死に人工呼吸を行い、コナンは息を吹き返す。組織に正体が露見した事で帰る場所がなくなった「バイバイだね。江戸川コナン君」と悲し気に微笑む灰原をよそに、コナンは一向に諦めておらず、笑顔を見せる。一方でピンガはパシフィック・ブイから逃亡して潜水艦に帰還するも、潜水艦は赤井の狙撃でダメージを受けたために爆破処分が決定しており、その情報を伝えてもらえなかったピンガは自分の運命を悟り狂気的な笑顔で海の藻屑と化す。船着き場にたどり着いたコナンと灰原は先程の潜水艦の爆破で生じた高波に巻き込まれそうになるが、コナンが船のブイを蹴り飛ばすことで何とか凌ぐ。仰向けになったまま動かなくなっていた灰原に、コナンは人工呼吸をしようとするが制止され、そこに駆け付けた蘭の唇に灰原はキスをし、コナン(新一)の唇を蘭に返したのだった。

パシフィック・ブイの再建は断念され、日本以外の国で同様の施設が新たに建設される事になった。情報非公開の新たな配属先に旅立つ直美と空港で言葉を交わす灰原。直美は灰原が志保である事を確信していたが、追及することなく心の内で「また会えてうれしかったわ…志保」と呟いて旅立っていった。少し離れた場所で阿笠とその様子を見ていたコナンは、安室からの電話を思い出して考え込む。

直美の見送りを終えて食事に行く三人を、灰原が整理券を譲った老婦人が上の階から見ていた。エレベーターに向かいながら顔に手をやり、変装マスクを剥がす。この人物の正体は、ベルモットの変装だった。「助けたワケ? それを探るのがあなたの仕事でしょ? シルバーブレット君」と微笑んだベルモットの着物の帯締めには「フサエブランド」の限定ブローチがついており、ダイヤモンドが煌めいていた。

登場人物

レギュラーキャラクター

江戸川コナンと周辺の人物

江戸川 コナン(えどがわ コナン)
声 - 高山みなみ
本作の主人公。本来の姿は「東の高校生探偵」として名を馳せている「工藤新一」だが、黒ずくめの組織に飲まされた毒薬・APTX4869の副作用で小学生の姿になっている。
本作では、灰原の誘拐をはじめとする事件の数々に警察やFBI、博士たちと共に挑む。
灰原 哀(はいばら あい)
声 - 林原めぐみ
本作のヒロインにしてキーパーソン。本名は「宮野 志保(みやの しほ)」だが、元黒の組織の一員で在籍当時のコードネームは「シェリー(Sherry)」。APTX4869の開発者で、コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人。自殺目的でAPTX4869を自ら飲むが、コナン同様小学生の姿になり、組織から離脱する。
本作では、直美が持っていたUSBメモリのデータから、ウォッカ達にシェリーが子供の姿になって生き延びていたと思われ、拉致されてしまう。
毛利 蘭(もうり らん)
声 - 山崎和佳奈
本作のヒロイン。新一の幼馴染かつ彼女。関東大会で優勝するほどの空手の達人。
本作では、誘拐された灰原を巡り、新一に頼るだけでなく、自身も奮闘する。
毛利 小五郎(もうり こごろう)
声 - 小山力也
蘭の父親で、「眠りの小五郎」の異名で有名な私立探偵。コナンの保護者。
第21作『から紅の恋歌』以来に眠りの小五郎で推理を披露している。
工藤 新一 (くどう しんいち)
声 - 山口勝平
コナンの正体で、「東の高校生探偵」として名を馳せている高校生。
阿笠 博士(あがさ ひろし)
声 - 緒方賢一
コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人で、発明家。灰原の保護者。
本作では、灰原を連れ去ったウォッカとピンガの車をビートルで追い、熾烈なカーチェイスを繰り広げる。
沖矢 昴(おきや すばる)
声 - 置鮎龍太郎
「東都大学大学院工学部博士課程の大学院生」を名乗る青年。その正体は赤井が変装した姿。
本作でもコナンに協力し、彼と連絡を取りつつ情報を提供する。
鈴木 園子(すずき そのこ)
声 - 松井菜桜子
蘭の同級生で親友。鈴木財閥の令嬢で、蘭や新一とは幼馴染でもある。
本作では、灰原の優しい一面を目撃したことで彼女へのご褒美として八丈島のホエールウォッチングにコナンたちを招待する。
吉田 歩美(よしだ あゆみ)、小嶋 元太(こじま げんた)、円谷 光彦(つぶらや みつひこ)
声 - 岩居由希子(歩美)、高木渉(元太)、大谷育江(光彦)
少年探偵団の3人。
本作では、園子の招待を受けて八丈島へホエールウォッチングにやって来る。

警察関係者

安室 透(あむろ とおる)/ バーボン(Bourbon)
声 - 古谷徹
警察庁警備局警備企画課(ゼロ)の公安警察捜査官。本名は降谷 零(ふるや れい)。「バーボン」のコードネームで組織に潜入している。普段は探偵の安室 透(あむろ とおる)として、毛利探偵事務所の下の「喫茶ポアロ」でアルバイトをしている。
本作では、主にバーボンとして組織のメンバー達と行動を共にするが、その裏で公安を動かしたりコナンに情報を伝えたりする。
黒田 兵衛(くろだ ひょうえ)
声 - 岸野幸正
警視庁刑事部捜査一課の管理官で、階級は警視。目暮警部や佐藤刑事たちの上司。
本作では、八丈島近海に新たに完成する海洋施設の警備に白鳥と共に参加する。
白鳥 任三郎(しらとり にんざぶろう)
声 - 井上和彦
警視庁捜査一課の刑事で、階級は警部。コナンたちの担任教師の小林 澄子(こばやし すみこ)と交際中。
目暮 十三(めぐれ じゅうぞう)
声 - 茶風林
警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係の警部。
白鳥からの応援要請を受け、佐藤と共にパシフィック・ブイに赴く。
佐藤 美和子(さとう みわこ)
声 - 湯屋敦子
警視庁捜査一課の刑事で、階級は警部補。格闘技に長けていて洞察力も鋭く、射撃の腕も一流。同じ捜査一課の高木 渉(たかぎ わたる)刑事と交際中。
風見 裕也(かざみ ゆうや)
声 - 飛田展男
警視庁公安部所属の公安警察捜査官で、階級は警部補。降谷(安室)の協力者。
本作の出番は降谷に駆け寄るワンシーンのみで、事件には直接関わっていない。

FBI

赤井 秀一(あかい しゅういち)
声 - 池田秀一
連邦捜査局 (FBI) の捜査官。かつて「諸星 大(もろぼし だい)」と名乗って「ライ(Rye)」のコードネームで黒の組織に潜入していた。現在は組織に対して自らの死を偽装し、変装して「沖矢昴」と名乗っている。コナン本人には告げていないが、コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人でもある。
ジェイムズ・ブラック (James Black)、ジョディ・スターリング (Jodie Starling)、アンドレ・キャメル (Andre Camel)
声 - 土師孝也(ジェイムズ)、一城みゆ希(ジョディ)、乃村健次(キャメル)
日本警察に内密で黒の組織の捜査を日本で行っているFBI捜査官達で、コナンの協力者。
本作では、ユーロポールでの事件を受け、ドイツに赴く。
キャメルは本作公開直前に放送されたテレビアニメ「黒ずくめの謀略」のラストで角刈りになったが、本作では従来通りの髪型で登場している。

CIA

水無 怜奈(みずなし れな) / キール(Kir)
声 - 三石琴乃
アメリカ中央情報局 (CIA) の諜報員。本名は本堂 瑛海(ほんどう ひでみ)。「キール」のコードネームで組織に潜入している。
本作では、組織の任務に従う振りをしながら、灰原と直美が脱出できるよう密かに手引きを行う。
イーサン・本堂(イーサン・ほんどう)
声 - 小山力也
CIAの諜報員で、本堂瑛海の父。故人。同じく組織に潜入していた娘の瑛海を守る為、自殺した。
本作では瑛海の回想で登場。劇場版への登場は初となる。

黒の組織

コナンやFBIが追っている、世界規模の犯罪組織。本作では2016年公開の劇場版第20作『純黒の悪夢』以来の登場、2001年公開の劇場版第5作『天国へのカウントダウン』、2009年公開の劇場版第13作『漆黒の追跡者』と合わせて第4作目の登場になる。

あの方
組織のボス。鈴木財閥を超える財力を有する大富豪である烏丸 蓮耶(からすま れんや)。半世紀前に99歳で死去したとか40年前に100歳を超えていたとも言われている。ラムやジンなどは「あの方」、ベルモットは「ボス」と呼ぶ。メールアドレスは「♯969♯6261」、携帯電話のボタン音は童謡「七つの子」。
ベルモットを贔屓し、その関係性は謎に包まれている。
本作ではメールの返信とシルエットのみ登場。ラムはしばらく会っていないことが語られた。
ラム (Rum)
声 - 千葉繁
ボスの側近にして、組織のNo.2の地位にある最高幹部。コードネームを持つメンバーの中でも別格の存在で、ジン以上の切れ者。左目が義眼。変装して脇田 兼則(わきた かねのり)と名乗り、毛利探偵事務所の隣の寿司屋「米花いろは寿司」で板前をしながら潜伏している。コナンはまだ、脇田の正体がラムであることを知らない。本作ではラムとしての登場のみで、脇田兼則としては登場していない。
電話でメンバーとの通話する際には、携帯に内蔵されているボイスチェンジャーで声を変えている。
ジン (Gin)
声 - 堀之紀
組織の幹部。実行部隊のリーダーで、新一にAPTX4869を飲ませて幼児化させた張本人。銀色の長髪と氷のように冷たい目が特徴の、長身痩躯の男。洞察力や射撃の能力に優れており、「疑わしきは罰せよ」を信条としている。コナンと灰原の正体を知らない。
ウォッカ (Vodka)
声 - 立木文彦
組織の幹部で、ジンを「兄貴」と呼ぶ。
本作では直美のUSBメモリー内のデータに映っていた灰原をシェリーと疑い、ピンガ・キャンティと共に灰原拉致作戦を実行する。原作・テレビアニメ本編に比べて残忍な面が強調されている。
ベルモット (Vermouth)
声 - 小山茉美
組織の幹部。組織で唯一、コナンと灰原の正体を知っている。コナンが「知人を騙せる程の声色と変装術を兼ね揃えた女はたった一人しかいない」と断言するほどの変装の達人。本作では冒頭でスマホを操作中、掲載された広告に目を向けており、灰原を助けたワケはブローチを譲ってくれたからというものだった。
キャンティ (Chianti)
声- 井上喜久子
組織の幹部。気性の荒い女性スナイパー。
本作ではスナイパーとして灰原拉致作戦に参加する。
コルン (Korn)
声 - 木下浩之
組織の幹部。無口で冷静なスナイパー。
本作ではマリオ・アルジェントの暗殺計画に従事する。
故人
宮野明美(みやの あけみ)
声 - 玉川砂記子
灰原哀こと宮野志保の姉。故人。黒の組織10億円強盗事件の一件で、ジンに殺害される。組織に潜入していた頃の赤井秀一と恋仲だった。
テキーラ (Tequila) 、ピスコ (Pisco)、アイリッシュ (Irish)、キュラソー (Curaçao)
いずれも途中の回想でのみ登場し、それぞれの本人達の登場作品で死亡した組織の元メンバー。「ゲーム会社殺人事件」で登場したテキーラは事故による爆死、「黒の組織との再会」で登場したピスコと劇場版「漆黒の追跡者」で登場したアイリッシュは組織により殺害された。劇場版「純黒の悪夢」で登場し、ラムの元腹心であるキュラソーは、観覧車に潰されると同時に爆死し、彼女の死後、後述のピンガがラムの側近として居座る事になる。

オリジナルキャラクター

組織のメンバー

ピンガ (Pinga)〈25〉
本作のキーパーソン。キュラソーが死亡したことでラムの側近の座に納まった。
コーンロウに編み上げられた金色の髪型で、太い唇が特徴の男性。他人を蹴落としてものし上がろうとする貪欲な性格であり、また、ラム以外のメンバーの指示を一切聞かない。バーボン曰く、ラムの言いなり。ジンに強い対抗心を燃やしている。
細身な体格だが、蘭と渡り合えるほどの格闘技術を持つほか、高度なAI技術を使いこなすエンジニアとしての能力にも長けている。海洋施設「パシフィック・ブイ」のエンジニアとして変装し潜入している。

海洋施設「パシフィック・ブイ」

牧野 洋輔 (まきの ようすけ)
声 - 沢村一樹
「パシフィック・ブイ」の局長。世界各国から集まったエンジニア達を束ねるリーダー。
直美・アルジェント (なおみ・アルジェント)〈19〉
声 - 種﨑敦美
本作のキーパーソン。「パシフィック・ブイ」のエンジニアで、老若認証システムの開発者。「人種差別の無い世界を作りたい」との考えから老若認証システムを開発した。
アメリカ育ちで、イタリア人の父親と日本人の母親を持つハーフ。父親はEU議会議員のマリオ・アルジェント。
灰原の本来の姿である志保とは小学生の頃に知り合っており、今でも彼女との再会を待ち望んでいる。
レオンハルト
声 - 諏訪部順一
「パシフィック・ブイ」のエンジニア。ドイツ出身。様々な組織を渡り歩いてきたらしいが、そこで嫌な思いをしたため、日本人を露骨に嫌うなど人種差別的な考えを持つ。
エド
声 - 神谷浩史
「パシフィック・ブイ」のエンジニア。インド出身。マイペースな性格だが、エンジニアとしての腕はかなりのもので、以前まで世界的なIT企業にいた。
グレース
声 - 村瀬歩
「パシフィック・ブイ」のエンジニア。フランス出身。気さくで明るい性格。

ユーロポールの捜査官

ハンス
声 - 土田大
ユーロポールの捜査官で、ドイツ・フランクフルトにあるネットワークセンターの管理者。
ニーナ
声 - 宮原永海
ユーロポールの捜査官で、FBIのジョディの友人。ある一件から組織に命を狙われる。

八丈島

丑尾 寛治 (うしお かんじ)
声 - 沢木郁也
八丈島の観光船船長。阿笠博士の発明品を見て感心し、意気投合する。

その他の登場人物

お婆ちゃん
声 - 沢田敏子
フサエ・ブランドの限定ブローチを欲しがっていた着物姿の老婦人。直前に並んでいた灰原を最後に整理券が完売してしまい落胆するも、灰原に整理券を譲られる。
エピローグで、とある人物が変装した姿である事が判明する。

スタッフ

音楽

主題歌

「美しい鰭」
作詞・作曲 - 草野マサムネ / 歌 - スピッツ

挿入歌

「キミがいれば(黒鉄の魚影ヴァージョン)」
歌 - 青木カレン / 作詞 - 高柳恋 / 作曲 - 大野克夫 / 編曲 - 菅野祐悟

サウンドトラック

  • 26作目の劇場版サウンドトラックを2023年4月12日に発売。前作に続き、菅野祐悟が担当。大野克夫作曲の「名探偵コナンメインテーマ」も収録。

収録曲

Collection James Bond 007

公開

日本では、2023年(令和5年)4月14日に公開され、IMAX、MX4D、4DX、Dolby Cinemaの同時上映も決定し、通常版と合わせて、合計504館で上映予定となり、コナン史上最大規模の公開館数となった。

国外

興行収入

公開初日に興行収入8.5億円、観客動員数58万人、2日目に興行収入11.8億円、動員数82万人、3日目に興行収入10.9億円、動員数77万人を記録した。

公開3日間の観客動員数と興行収入が発表され、動員数約217万人、興行収入約31.4億円を記録し、シリーズ歴代史上1位のオープニング成績となった。

5月7日、公開から24日間で観客動員728万0136人、興行収入103億0448万3700円を突破した。この時点で前作『ハロウィンの花嫁』の通算興行収入を上回り、劇場版『名探偵コナン』シリーズ歴代最高興行収入記録を更新し、初の興収100億円を突破した。

プロモーション

情報公開

2022年12月1日、特報映像とストーリーが解禁された。12月27日には1分予告が公開された。

2023年1月6日、本作の公開に先駆けTVシリーズ特別編集版「名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜」が劇場公開された。総編集版の劇場公開は2021年の「緋色の不在証明」以来である。

1月18日、沢村一樹がゲスト声優としてパシフィック・ブイ局長の牧野洋輔として出演することが発表された。

2月1日、劇場版シリーズ初2枚で1組となるスペシャルバージョンとなる本ポスタービジュアルが公開された。

2月21日、新ポスターと新映像が公開。

3月1日、主題歌がスピッツの新曲「美しい鰭」に決定したことが発表され、主題歌入りの予告映像が公開された。

3月8日、黒のファッションを身に着けた「黒鉄ビジュアル」解禁。

コラボ企画

  • 4月17日に開館した大阪府門真市の映画館「TOHOシネマズ ららぽーと門真」のこけら落としとして本作が上映された。同館はは広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを実現できるため本物のを再現することが可能とされている規格「Dolby Cinema」が導入され、宿敵、黒ずくめの組織との対決が描かれる本作とのコラボも決定している。
  • ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとのコラボ。「ユニバーサル・クールジャパン2023」が2月17日から開催される。3年ぶり完全復活するリアル脱出ゲーム「名探偵コナン・ザ・エスケープ ~黒鉄(くろがね)の序章(プロローグ)~」は、本作と連動した完全新作ストーリー。
  • 本作公開を記念して、「名探偵コナンカフェ」を東京・神奈川・愛知・大阪・宮城・札幌・福岡の7都市10会場で、2023年4月6日より順次期間限定オープン。本作をイメージした期間限定メニューや、ファン参加型の企画、カフェオリジナルグッズなどを展開予定。
  • くら寿司とのコラボ。第1弾が3月10日、第2弾が23日、第3弾が4月7日から実施。本作の公開を記念して、くら寿司の店員に扮してすしを運ぶコナンや灰原がデザインされたクリアファイルや、「黒鉄の魚影」のシーンが描かれたグッズをプレゼント。「ビッくらポン!」もコナン仕様となる。
  • 江崎グリコとのコラボ。「オカシな謎を解き明かせ!キャンペーン」を2023年3月14日より開始。商品カテゴリーごとに複数の企画が同時進行される。

イベント

  • 4月4日、完成披露試写会が、東京国際フォーラムで開催された。
  • 本作公開を記念して、Huluにて、劇場版5作品が3月17日から先行配信される。「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」「名探偵コナン 純黒の悪夢」「名探偵コナン ゼロの執行人」「名探偵コナン 緋色の弾丸」が先行配信対象作品。また、江戸川コナンと灰原哀によるスペシャルPR映像がYouTubeで公開され、「シェリー」「灰原哀」「黒ずくめの組織」の3つのエピソード特集を実施。
  • 日本テレビ系朝の情報番組の『ZIP!』のコーナー『流行ニュース キテルネ!』で、10日から14日まで、本作とのコラボを行うことが決定。日替わりでメインキャラクターたちがナレーションで登場。映画公開当日の14日には、江戸川コナンとゲスト声優を務めている沢村一樹が生出演した。
  • 本作の公開を記念して、4月7日に前作『ハロウィンの花嫁』が、4月14日に『漆黒の追跡者』が金曜ロードショーにて放送された。
  • 4月15日、本作の公開記念舞台挨拶が、TOHOシネマズ日比谷で開催された。
  • 終映企画「ブラッククロージング」の一つとして、黒ずくめの組織が、8月30日(水)発売の「週刊少年サンデー」の紙面をジャックすることが発表された。
  • 「ブラッククロージング」の一つとして、9月1日より全国の劇場にて、新規描き下ろしの「ブラッククロージングビジュアル」ポスターが掲載される。また、同日より、一度上映を終了した劇場でも本作の上映が復活した。
  • 「ブラッククロージング」の一つとして、9月6日にTOHOシネマズ日比谷にて「黒(96)の日舞台挨拶」が開催され、全国の劇場にて生中継される。
  • 「ブラッククロージング」の一つとして、本作の大ヒットを記念して、9月15日に『天国へのカウントダウン』、9月22日に『純黒の悪夢』を金曜ロードショーにて放送する。
  • 「ブラッククロージング」の一つとして、9月30日にTOHOシネマズ日比谷にて「ティーチイン付き・ブラックボックス舞台挨拶」が開催され、全国の劇場で生中継を行う。

応援上映

5月27日(土)より全国の対象劇場にて、毎週土曜日に発声可能応援上映「ぎょぇぇえ~!!発声可能応援上映」が開催された。

また、一部の劇場にて、映画上映での実施は世界初となる自動制御ペンライト演出付きの発声可能応援上映が、5月26日(金)より不定期に19時の上映回にて、以下の日程で実施された。

評価 

本作は第47回日本アカデミー賞で優秀アニメーション作品賞を受賞した。

テレビ放送

灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜

名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』(めいたんていコナン はいばらあいものがたり〜くろがねのミステリートレイン〜)は、灰原哀に焦点を当てたテレビシリーズの特別総集編映画である。テレビシリーズの第701話から第704話「漆黒の特急」を主軸に灰原哀の過去に迫る。

2023年4月7日に、Huluにて、配信が決定。

キャッチコピーは「迫りくる暗黒の終着駅(ターミナル) 絶体絶命の窮地から救い出せ!」。

キャスト(総集編)

  • 江戸川コナン - 高山みなみ
  • 灰原哀 / 宮野志保 - 林原めぐみ
  • 毛利蘭 - 山崎和佳奈
  • 毛利小五郎 - 小山力也
  • 阿笠博士 - 緒方賢一
  • 吉田歩美 - 岩居由希子
  • 小嶋元太 - 高木渉
  • 円谷光彦 - 大谷育江
  • 鈴木園子 - 松井菜桜子
  • 火傷の男 - 池田秀一
  • 沖矢昴 - 置鮎龍太郎
  • 世良真純 - 日髙のり子
  • 工藤有希子 - 島本須美
  • 安室透 / バーボン - 古谷徹
  • ジン - 堀之紀
  • ウォッカ - 立木文彦
  • ベルモット - 小山茉美
  • 怪盗キッド - 山口勝平
  • 宮野明美 - 玉川砂記子
  • 宮野エレーナ - 林原めぐみ
  • 鈴木次郎吉 - 永井一郎
  • 小林澄子 - 加藤有生子
  • 安東諭 - 牛山茂
  • 能登泰策 - 辻親八
  • 出波茉利 - 川浪葉子
  • 小蓑夏江 - 羽鳥靖子
  • 住友昼花 - 山口由里子
  • 室橋悦人 - 石川ひろあき
  • 車掌 - 志村知幸
  • 車掌 - 小田敏充

スタッフ(総集編)

興行成績(総集編)

  • 1月10日、公開4日間で、興行収入2億4600万円、観客動員数17万7000人、1月6日から8日の週末動員ランキングは初登場4位となったことが発表された。
  • 1月16日、同月13日から15日の週末動員ランキングは5位となったことが発表された。
  • 1月23日、同月20日から22日の週末動員ランキングは7位となったことが発表された。

脚注

注釈

出典

外部リンク

  • 劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』公式サイト
    • 劇場版名探偵コナン【公式】 (@conan_movie) - X(旧Twitter)
    • 劇場版『名探偵コナン』 (detective.conan.movie) - Facebook
    • 『名探偵コナン』公式 (@conan_pr_official) - TikTok
  • TVシリーズ特別集編版『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン〜』公式サイト

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: 名探偵コナン 黒鉄の魚影 by Wikipedia (Historical)



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