『Fate/Grand Order』(フェイト グランドオーダー)は、原作:TYPE-MOON、開発:LASENGLE、運営:アニプレックスによるスマートフォン向けロールプレイングゲーム。『Fate/stay night』をはじめとするFateシリーズの1つで、プレイヤーはシリーズに登場する複数の英霊を「サーヴァント」として使役する「マスター」となり、人類史を守るため7つの「聖杯探索」(グランドオーダー)に身を投じる。略称は「FGO」。
2015年から配信されている。2004年発売のビジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』をはじめ、小説『Fate/Zero』、ロールプレイングゲーム『Fate/EXTRA』、小説『Fate/Apocrypha』、アニメーション作品『Fate/Prototype』といった数多くのシリーズ作品から多数のキャラクターが登場するほか、本作オリジナルのキャラクターも多数登場する。
本作は、2014年7月27日に品川インターシティホールで開催された「Fate Project 最新情報発表会」にて初めて製作が発表され、2014年12月28日より事前登録を開始。シナリオ展開・サービス運営は2015年7月30日より開始した。Android版、iOS版が同時にサービス開始予定だったが、Appleの審査が通過できず、配信予定日にはAndroid版のみが配信された。同年8月4日、「Google Play ランキング」4位となるが、同時に長時間に渡るメンテナンスによりプレイが行えない状況となる。その後、同日18時15分にメンテナンス終了までアプリを「Google Play Store」から一時的に削除(非公開)していたことが公式Twitterで事後発表された。
最終的に同年8月6日の11時に配信を再開、断続的なスタートとなった。同年8月12日、iOS版の配信を開始。
歴代TYPE-MOON作品同様、世界の真なる理を魔術と魔術師が掌握しつつ、『Fate/EXTRA』で描かれたような科学技術を研鑽する者たちも加わり、科学と魔術が交錯する世界観を前提として物語は始まる。
また本作のストーリーはメインステージだけでなく期間限定イベントも含め、現実の時間軸とストーリー内の時系列を連動させるという手法を取って展開されていく。このため、中国版は2016、北米・韓国版は2017年からのスタートに合わせて作中の時間軸が調整されている。繁中版の1部、1.5部と第2部は8月を起点に運営されている。以後の時系列は全て日本語版を基準とする。
本作のイベントシナリオの中には『Fate/Extra CCC』や『空の境界』といったTYPE-MOON内の作品とのコラボレーションシナリオも存在する一方、同ジャンルの『グランブルーファンタジー』のように他社作品とのコラボレーションシナリオは存在しない。このことについて、原作者の奈須きのこは本作のストーリー性の強さを理由に、第2部完結までの間はTYPE-MOON外の作品とのコラボレーションができない旨を2019年に行われたファミ通とのインタビューの中で明かしている。
イベントシナリオのうち、謎のヒロインXが登場する「セイバーウォーズ」シリーズと織田信長や沖田総司が登場する「ぐだぐだ」シリーズは本作のスピンアウトという位置づけであり、メインシナリオおよびほかのイベントシナリオから独立した世界観を持つ。
登場人物は主人公らが属する組織である「カルデア」の主要人物、協力組織の人物、敵対キャラクターうちの重要人物、イベントについては重要な役割を持つキャラクターを解説している。 本作の登場人物のうち、主人公らが召喚し使役する「英霊」たちは、サーヴァントと呼ばれて一覧表にまとめられている。
本作は「Fateオンラインプロジェクト」としてオンラインゲームとなる予定であった作品『Fate/Apocrypha』のリベンジおよびリブートとして製作された。元々『Fate/Apocrypha』のオンラインプロジェクトはPCでプレイするPvPのオンラインゲーム企画として、セガの『三国志大戦』のように多くの作家にサーヴァントを描いてもらう予定であった。その後、一部デザインは実際に公開されたが、最終的に企画はお蔵入りとなる。その後、とあるきっかけでFateのオンラインゲームを作ろうという話となり、さらに、奈須が脚本監修として参加していたテレビアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の放送に合わせて新しいソーシャルゲームをFateで挑戦させてほしいとアニプレックス代表兼プロデューサーの岩上敦宏から提案されたことがきっかけとなり、当時の設定を使いながらもゲームシステムはセガの『チェインクロニクル』、オンライン要素はSIEの『デモンズソウル』を参考に2015年に合ったオンラインゲームを作るという目標のもと、「Fate Online Project REBOOT」という標語が掲げ、企画が再始動した。そのため、「Fateオンラインプロジェクト」のベースとなったセガの『三国志大戦』のように本作はこれまでのFateシリーズを手掛けてきたシナリオライター・奈須きのことイラストレーター・武内崇を基幹に、これまでTYPE-MOON作品内外問わず多くの作家が多数参加している。
初期案はRPGではなくトレーディングカードゲーム形式だった。ディライトワークス代表の庄司顕仁は、このまま配信しても一定の成果は出せるだろうとしつつも、原作者であるTYPE-MOONの反応の薄さから、彼らが作りたいものと異なると思ったと東洋経済とのインタビューの中で振り返っている。その後、ディライトワークス、アニプレックス、TYPE-MOONの三者で話し合いを進め、『Fate/Grand Order』という新しい原作を創ろうという話にまとまった。ディライトワークスの石倉正啓によると、奈須は2016年に人類が終わるという状況にユーザーを巻き込むことを望んでいたとされ、特定のユーザーを対象にしたレイドイベントを試験的に行った後、2016年末に実装された終局特異点として実現した。
当初の企画では、本作とテレビアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』、ゲーム『リメイク版月姫』の3作品がシンクロするようにシナリオが執筆されており、『UBW』第2シーズンと『Fate/Grand Order』第1部のクライマックス、『リメイク版月姫』でのとある言及が同時に進行する予定であったが、『FGO』と『リメイク版月姫』の配信および販売が当初の予定より延期したため実現することはなかった。それでも、『UBW』第2シーズンでのセリフや『FGO』第1部のシナリオにその名残が残っているほか、『UBW』第1シーズンBDBOXの特典小説『Garden of Avalon』にも『FGO』第1部の伏線が名残として残っている。
また、開発当初は携帯電話向けアプリ時代から続く「一つのシーンにつき20タップまで」という慣習が業界に残っており、サービス初期に配信されたシナリオにおいては「状況説明中に敵襲が入る」という展開が頻発していた。奈須自身もブログの中で、物語の流れを中断させる形で戦闘を入れざるを得なかったことを認めている。4章まで配信された後、シナリオを重視するという方針に切り替えられ、タップ数の制約が緩和された。2015年夏の時点で第7章までのシナリオはできていたものの、他の担当ライターが多忙だったことから、第5章については担当ライターともにリライトし、第6章と第7章については奈須自身がリライトした。
2016年12月にメインシナリオ終章が配信され、ストーリー第1部が完結した。2017年2月から11月にかけては、1部と2部をつなぐストーリー第1.5部「Epic of Remnant」が展開され、2017年12月26日から31日にかけて第2部プロローグ「序/2017年12月26日」、「序/2017年12月31日」が配信、2018年4月4日より第2部のメインシナリオとなる「Cosmos in the Lostbelt」の配信が開始された。同時に第1部に副題「Observer on Timeless Temple」が明記される。第1.5部に属するシナリオ「亜種特異点 深海電脳楽土 SE.RA.PH」は当初、BBを目玉としたイベントになる予定だったが、奈須が「亜種特異点I 悪性隔絶魔境 新宿 」に登場したエミヤ〔オルタ〕の活躍を増やしたいと提案した結果、シナリオのボリュームが当初の予定より増大した。
2023年から実装された奏章ことオーディール・コールは、本来の聖杯戦争には存在しないはずのエクストラクラス群を深く掘り下げるという役割があり、当初はすべてのエクストラクラスをまとめて掘り下げようとしたものの、それではまとまらなかったため、1つのシナリオで1つのクラスを題材にする方針がとられ、2023年以降はこれらのシナリオを展開するという方針がとられた。これらのシナリオ群は前提となるテーマを用意しつつも、担当シナリオライターの作家性を強く出されている。
このうち、アルターエゴを題材とした「奏章I 虚数羅針内界 ペーパームーン」(以下:「奏章I 」)は、担当ライターの意向で『Fate/stay night』や『Fate/Zero』といった過去作の要素を混在させた内容となっている。
イベントクエストは、基本的にファンディスクのようなコミカルな内容にするという方針が取られており、ディライトワークスの塩川洋介は武内から「毎月,エイプリルフールをやっているような感覚」と言われて納得したと4Gamer.netとのインタビューの中で話している。また、イベントクエストでは、メインで出番の少なかったサーヴァントの出番を増やし、キャラクターを深堀りするという方針が立てられている。一方で、イベントクエストに後発作品への伏線が仕込まれていた例もあり、たとえば「見参! ラスベガス御前試合〜水着剣豪七色勝負!」においては宮本武蔵(バーサーカー)が弟子の伊織の名を騙る場面があり、2023年のインタビューにて奈須が同年末に発売予定のコンピュータゲーム『Fate/Samurai Remnant』への伏線だったことを認めている。
また、第2部では、章と章の間に起きた出来事が実験的にイベントクエストとして実装されている。なお、イベント報酬のサーヴァントは、イベントクエストのシナリオそのものが通常のサーヴァントの「幕間の物語」に相当するため、一部の例外を除き「幕間の物語」は実装されていない。
ノンフィクション作品『TYPE-MOONの軌跡』の著者坂上秋成は、本作のシナリオの文体について、奈須きのこ節を残しつつも、『月姫』や『Fate/stay night』よりも伝わりやすいものだとしている。
本作に登場するキャラクターは、奈須が題材となる人物を提案し、設定担当者が調べたうえで、デザイナーなどが割り振られる。 一方で、マシュのように、Fateシリーズを含む過去のTYPE-MOON作品のキャラクターのアイデアを発展させる形で生み出されたケースや、織田信勝のように奈須以外の人物の提案がきっかけで採用されたケースもある。
キャラクターのデザインが出来上がった後は、戦闘ユニット向けの3DCGの制作に移行する。
本作においては霊基の変化などの理由で、同じ人物を題材としたサーヴァントが複数存在することがあり、それによってキャストの割り当てや演技の方法などがオリジナルと異なる場合がある。たとえば、アルトリア・ペンドラゴンの場合は、『Fate/stay night』に登場した時のセイバーおよびセイバーオルタに加え、ランサーとしてのアルトリアなどが登場する。アルトリアを演じた川澄綾子はライブドアとのインタビューの中でアルトリアの多様性について話す中で、これらのキャラクター群は手段が変わっても目的は同じだと述べている。川澄はランサーのアルトリアを初めて演じる際は戸惑ったものの、作品を理解して納得できたキャラクターでもあったと振り返っており、演技に当たっては少年らしさを排除し、アルトリアの成長を踏まえたうえで大人びた演技をしたとも明かしている。また、2019年のバレンタインよりフルボイスのシナリオが実装された際は、高音を要するフォウを一番最後にしたうえで、これまで演じてきたアルトリアの分をすべて収録したとも話している。
本作においてはシナリオの内容や、キャラクターの設定を反映したゲームデザインが施されている。 たとえば、第2部第6章の場合は、シナリオの展開に合わせ、敵キャラクターの一種であるモースの攻撃に追加効果を入れるなどの措置が取られている。
サービス開始当初、サーヴァントに割り当てられた絆レベルを高めるためのクエストも用意されていたが、開発側が意図していた「マスターが長い時間をかけてサーヴァントとの絆をはぐくむ」というコンセプトとかみ合わないため、後に廃止された。
本作のメインコンポーザーは芳賀敬太が務めている。ストーリーと音楽が関連している場合は、多くにおいて奈須が決める。
サービス開始前の時点では、ある程度楽曲を用意した後は、半年に一度のペースでいくつか追加されるという予定であり、作曲も芳賀が単独で行う予定だった。ところが、サービス開始後、イベントなどで芳賀の予想以上に多くの曲を追加する必要が出てきた。この時点において、芳賀は他のFate作品も手掛けていたため、ベースとなるメインテーマを作り、毛蟹をはじめとする他の作曲家にアレンジしてもらうという方針が取られた。たとえば、イベントシナリオ「徳川廻天迷宮:大奥」の場合、芳賀がメインテーマである「徳川廻天迷宮:大奥 〜表〜」を作り、これをもとに毛蟹が戦闘曲「鏡花水月」とショップのテーマ曲としてそれぞれ編曲した。毛蟹は作曲に当たり、同クエストは第2部第4章「Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ」と関連していることを踏まえ、「鏡花水月」には和風の楽曲であると同時にインドの民族楽器であるシタールが取り入れられている。ショップではシナリオの世界観を踏襲しつつも、キャラクターの音声が入るためにトラック数が少なく抑えられている。
また、ユガを題材とする第2部第4章は、ベースとなる「ユガ・クシェートラI」を作曲した後にそれぞれのユガに合わせたバージョンが作られたが、物語がユガの第2周期から始まることが判明したため、急遽そのテーマ曲である「ユガ・クシェートラII」が作り直されることとなった。また、このシナリオでは『Fate/stay night』の「消えない想い」のアレンジ版である「消えない想い〜FGO〜」も用いられた。もともとこの曲は同シナリオに向けたものではなく、芳賀が感傷的なピアノ曲が必要であると判断したことがきっかけで制作された。芳賀はスタンダードなピアノ楽曲を苦手としていたことに加え、「消えない想い」についてよく知っている毛蟹に同楽曲のアレンジを依頼した。毛蟹はオリジナルを踏襲して静かに始まるバージョンを芳賀に提出したが、芳賀はイントロを削除したうえで幅広い音域を使うよう再度発注した。最終的に、同楽曲は当初の予定から前倒しする形で使われた。
第2部第6章は、前述のとおりテクストの量が多いことから、BGMの数も通常のメインシナリオの約3倍となった。 3人の妖精騎士との戦いはそれぞれのキャラクターに合わせた戦闘BGMが用意され、戴冠式で彼女たちが厄災として登場した時はその「完成系」にあたるBGMが用意された。 たとえば、妖精騎士トリスタンは『Fate/Extra CCC』のアルターエゴ戦のようなダンスミュージック調の音楽が用意され、厄災として登場した時は「少女が見ている、幸せな夢」というイメージからスピード感のあるBGMが用いられた。 また、「希望の地」のBGMは元々イベントシナリオ「セイバーウォーズ2」で用いられる予定だったが、奈須が想定していた第2部6章の終盤のイメージとかみ合っていたため、「セイバーウォーズ2」での使用を見送り、アルトリア(キャスター)の宝具BGMにはそのアレンジ版が先行して用いられた。
メインシナリオは管弦楽を主体とする一方、イベントシナリオにおいてはそのような制約はない。たとえば、コミカルなシナリオの場合はかっこよくするという方針が取られており、芳賀はこのきっかけになったケースとして「星の三蔵ちゃん、天竺に行く」で銅角(メデューサ)との戦闘場面において「蘇る神話 〜FGO〜」が使われたことだとインタビューの中で話している。また、「見参! ラスベガス御前試合〜水着剣豪七色勝負!」の「ぐだぐだマーチ」は、『ぐだぐだオーダー』のキャラクターがゲストとして登場する場面の曲であることから、担当者の毛蟹には『マンわか』のような雰囲気を意識して作曲するようオーダーが出された。さらに、同イベントのショップテーマは毛蟹が得意とするアコースティックギターの生演奏を主体とした楽曲に仕上がった。
小説『Fate/Requiem』を原作とするイベント「『Fate/Requiem』盤上遊戯黙示録」では、同作の作者である星空めておにイメージを聞き取り、かつ原作を読んだ上で、芳賀が楽曲を手掛けた。芳賀は同イベント向けに制作した曲について「『FGO』というよりは、『stay night』や『CCC』の雰囲気を混ぜた感じに近い」と述べている。
展開メディアでは主人公(藤丸立香)の性別は男性として設定されていることが多いが、コミカライズ版の「英霊剣豪七番勝負」と「異端なるセイレム」では女性として設定されている。実際のゲームシナリオとは異なる展開がそれぞれ設けられている。
アンソロジーや雑誌に掲載された漫画などを作家ごとに集成した作品集。
担当声優は、本編にも登場するキャラクターの場合は同一。
タイトルは『Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット-』。「第六特異点 神聖円卓領域キャメロット」のシナリオを原作としている。2017年7月14日から17日、9月29日から10月8日までZeppブルーシアター六本木にて公演。演出・脚本は福山桜子、音楽は大塚茜、芳賀敬太、深澤秀行が担当。
タイトルは『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』。第七特異点 絶対魔獣戦線バビロニアを原作としている。2019年1月11日から14日まで大阪サンケイホールブリーゼ、1月19日から27日まで東京日本青年館ホールで公演が行われた。演出・脚本は前作に引き続き福山桜子が担当した。
タイトルは『Fate/Grand Order THE STAGE -冠位時間神殿ソロモン-』。終局特異点 冠位時間神殿ソロモンを原作としている。2020年10月18日にTACHIKAWA STAGE GARDENにてプレビュー公演、2020年10月24日から30日まで東京国際フォーラム ホールにて公演。演出・脚本・作詞は福山桜子、音楽は大塚茜が担当
2016年から毎年、12月31日(大晦日)にFateProject関連の特番が放送されており、その中で本作を原作とするアニメーション作品が放送される。 また、第1部第7章を原作としたテレビアニメ、『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』が2019年10月から2020年3月までTOKYO MXほかにて放送された。
第1部第6章を原作とする劇場アニメ『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』は前後編に分けて公開され『前編 Wandering; Agateram』は2020年12月に、『後編 Paladin; Agateram』は2021年5月に上映された。
第1部終章を原作とする劇場アニメ『Fate/Grand Order -終局特異点 冠位時間神殿 ソロモン-』は、2021年7月30日に上映された。
PlayStation VR専用ソフト『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』が2017年12月16日より無料ダウンロード配信中。
VRを使用してマシュとトレーニングなどが行えるほか、隠しキャラクターとしてアルトリア・ペンドラゴンも登場する。
企画段階からディライトワークスはソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIE)と相談しながら『VR feat.マシュ・キリエライト』の開発を行った。「メインヒロインのマシュが目の前にいるとプレイヤーが感じられること」と、「クオリティと開発期間と開発の難易度を両立させられること」を条件に、複数のゲームエンジンを試した結果、Unity for PS4が採用された。本作のプログラマである荻野洋は、UniteTokyo2018の基調演説の中で、本作の開発にUnityを使用していたこととが決め手となったと振り返っており、慣れない環境で問題が起きたときのリカバリも考慮に入れられたことも理由に挙げた
UnityはどのプラットフォームでもVRに対応していたため、想像以上に快適な環境の中で開発がすすめられた。SIEのVRコンサルテーションサービスによるチェックの結果、フレームレートについての指摘が出された。また、『VR feat.マシュ・キリエライト』ではプレイヤーの移動がほとんどないためVR酔いは生じなかった一方、冒頭のタイトル部分に不快感を感じるという指摘を受け演出を変更した。
開発にあたり、マシュのモデル作成には3ds Maxが、小物のモデル作成にはMayaがそれぞれ使用された。また、マシュの動きにはFinal IKアセットのLookAtIK機能が使われたが、そのままではどうしてもぎこちなくなるため、手動による調整も行われた。さらに、マシュの服や髪の動きはボーンや関節に対して物理的に自然な挙動を持たせられるDynamic Boneで作成され、胸の動きは3ds Maxで作成された。
『Fate/Grand Order』でサウンドを手掛けた白山俊太郎は、『VR feat.マシュ・キリエライト』でもサウンドを手掛けた。VRにおいては全天球に映像を展開することから、ゲーム内の音声をプレイヤーの顔の向きと合わせる必要があった。白山は2017年12月23日に行われた「FGO冬祭り」にて、マシュがそばにいると感じられる距離感や位置の調整に苦労したと振り返っており、同席していた塩川洋介によると、「実際の位置とは別の位置に音を置いた後、ヘッドマウントディスプレイを装着する」という調整を繰り替えしたとされている。 また、白山は森の環境音を求めて奥多摩まで来たものの、本来ゲームには必要ない鳥たちの会話がなかなか止まらず苦労したとも同イベントの中で振り返っている。
ライターのLeyvanは、Animejapan2017にてプレイアブル出展されたバージョンについて、期待通りの内容だったとファミ通Appに寄せた記事の中で述べている。
『Fate/Grand Order Arcade』は、『Fate/Grand Order』をトレーディングカードアーケードゲーム化した作品である。
2017年12月7日には、同作のお披露目会がメディア向けに開かれ、開発中の実機プレイが初めて公開され、同年12月8日から10日に行われた第1回ロケーションテストを経、2018年7月26日より正式に稼働が開始された。
『Fate/Grand Order Waltz in the MOONLIGHT/LOSTROOM』(フェイト/グランド オーダー ワルツ イン ザ ムーンライト/ロストルーム)のタイトルで、2020年8月11日に配信。iOS / Android用アプリゲームで、公称ジャンルはFateアンサンブルアクション。5周年記念に配信されたタイトル。2021年7月26日にサービス終了。
差し出し人不明のメールに招かれて、「ロストルーム」にて開かれる一夜限りの舞踏会といったストーリーが展開される。メインクエストではナビゲーターのミス・クレーン(声 - 水橋かおり)によってシナリオが進行する。
楽曲に合わせてアイコンをタップするリズムアクションゲーム。楽曲は書き下ろしで、ライター陣の原案・監修により、ゲーム本編に登場するサーヴァントたちの心情が表現されたものとなっている。
ゲーム内ではマシュが3Dモデルで登場し、楽曲に合わせてダンスを行う。オリジナルの衣装も多数登場する。「エキシビジョンモード」では自由にダンスを鑑賞できるほか、AR機能にも対応している。
当初は先着55万人限定ダウンロードとなっていたが、その後はアップデートに合わせて定期的に再配信が行われ、最終アップデートの2020年9月8日から制限なく恒常的に配信が行われた。
クリエイティブディレクターを務めた塩川洋介は、数年前から武内崇がサーヴァントの踊る姿を見たがっていたことがきっかけであるとファミ通とのインタビューの中で話している。最初に武内が話題にしたときはぴんと来なかったものの、それとは別に『FGO』のフランチャイズの発展についても本格的に考える必要が出てきた際に、塩川はこの話題を思い出し、自分の中で何かできないか考えるようになったとインタビューの中で振り返っている。塩川はフランチャイズ展開にあたり「マスター(としての)体験」を重要視しており、ダンスと「マスター体験」を結び付けたうえで、企画書を作成し、武内に提出したところ受け入れられ、プロジェクトとしてスタートした。
『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』のタイトルで2018年8月1日から発売。開発はディライトワークス、発売元はアニプレックス。また、ワンドローがゲームルールの開発協力として参加している。
ゲーム中に登場するサーヴァントのミニフィギュアと、コマンドカードがセットになっている。キャラクターごとのスキルを用いて対戦を行う。 なお、『Duel』のプレイを強制させたくないという観点から、シリアルコード等の封入は行われていない。
エイプリルフール限定企画として、一日限定のアプリゲームが配信されている。開発はディライトワークス(2019年 - 2021年)、ラセングル(2022年以降)。配信はアニプレックス。対応OSはiOSとAndroid。
不定期で配信される生配信番組。アーケード版に関連する番組については『Fate/Grand Order Arcade』を参照。
『Fate/Grand Order カルデア・ラジオ局』のタイトルで2017年1月10日から2019年3月29日まで文化放送超!A&G+にて映像付きで配信。2019年4月5日より第2期『Fate/Grand Order カルデア・ラジオ局 Plus』に改称。
これを再編集かつ未公開音源を追加したものが、文化放送の地上波にて音声のみで配信される。地上波では2017年1月8日(7日深夜)から毎週日曜3:30 - 4:00(土曜深夜27:30 - 28:00)に放送されるが、初回のみは超!A&G+での開始前であるため、新規収録分を放送した。
パーソナリティは高橋李依(マシュ・キリエライト 役)と、田中美海(ニトクリス、オルトリンデ 役)。『Plus』より大久保瑠美(エリザベート・バートリー、アストルフォ役)が追加され当番制で進行する。
放送直前の2016年12月21日には、特別番組「Fate/Grand Order カルデア・ラジオ局 事前特番スペシャル」が文化放送地上波にて配信された。
2017年4月9日より、文化放送での放送時間が毎週日曜21:30 - 22:00に変更される。2018年4月より、超!A&G+での配信日が毎週金曜 21:00 - 22:00に変更された。
2019年3月15日に発表された第5回アニラジアワードにおいて、「最優秀女性ラジオ賞」を受賞した。
本作は、SCRAPが展開するリアル脱出ゲームともコラボレーションを行っている。同公演において、参加者はコラボイベントオリジナルのキャラクターとなってサーヴァントを召喚し、彼らと協力して1時間以内にエリアから脱出するという内容となっており、ゲームのクリア条件である脱出は「修正」と称されている。参加者は6人でチームを組んでゲームに参加し、1回のゲームで複数のチームが参加する。コラボレーションのきっかけは2017年夏ごろに塩川がリアル脱出ゲームに参加したことであり、空間演出や謎解きと物語のリンクなどに興味を得た。主催者の加藤隆生もオファーを受けた時点ではアプリ版をプレイしていなかったものの、周囲に熱心なプレイヤーがいたことを見て自分も遊んでみた結果、物語のインタラクティブ性やキャラクターに魅了され、ゲームの体験を空間に落とし込むことに興味を覚え、コラボレーションに至った。
2018年5月11日から8月26日までの期間には、本作を題材としたリアル脱出ゲームの第1弾である「謎特異点I ベーカー街からの脱出」が開かれた。同公演で参加者が召喚できるサーヴァントは「アルトリア・ペンドラゴン」、「エリザベート・バートリー」、「アストルフォ」、「エレナ・ブラヴァツキー」、「ロビンフッド」、「ヘンリー・ジキル&ハイド」の6名である。同公演は、東京原宿にある常設スタジオ・原宿ヒミツキチオブスクラップと名古屋矢場町にある常設スタジオ・名古屋ヒミツキチオブスクラップと大阪心斎橋にある常設スタジオ・大阪ヒミツキチオブスクラップにて約1ヶ月、福岡天神にある常設店舗・アジトオブスクラップ福岡天神にて約3週間、札幌大通にある常設店舗・アジトオブスクラップ札幌大通と横浜石川町にある常設店舗・アジトオブスクラップ横浜にて約2週間のロングランで開催され、開催期間中に当ゲームの開発スタッフ陣とSCRAP社員によるトークライブを実施した。前売り券は通常版のほかにピンバッジ付の限定版を選択することができる。
その翌年の2019年4月26日から9月3日までの期間には、第2弾である「謎特異点II ピラミッドからの脱出」が開催された。同公演で参加者が召喚できるサーヴァントは「蘭陸王」、「エミヤ」、「ディルムッド・オディナ」、「マリー・アントワネット」、「アヴィケブロン」、「刑部姫」の6名である。同公演は、原宿ヒミツキチオブスクラップにて約2ヶ月、名古屋ヒミツキチオブスクラップと大阪ヒミツキチオブスクラップにて約1ヶ月、札幌大通にある常設店舗・アジトオブスクラップ札幌と仙台あおば通りにある常設店舗・アジトオブスクラップ仙台と岡山城近辺にある常設店舗・アジトオブスクラップ岡山と福岡天神にある常設店舗・アジトオブスクラップ福岡天神にて約3週間、横浜駅前にある常設スタジオ・横浜ヒミツキチオブスクラップにて約2週間のロングランで開催された。また、横浜公演では、内容を一部変更したリピーター限定公演を平日限定で実施した。前売り券は通常版のほかにスマホリング付の限定版を選択することができる。SCRAPの平井真貴は、メディア向けに行われた「ピラミッドからの脱出」先行体験会の際に開かれたディライトワークスのバスター石倉との対談の中で、同公演の制作の経緯について話している。前回の「ベーカー街の脱出」は推理ものの要素が強かったため、今回はアクションを強化しようという方針が立てられたものの、アイデアを出すのには時間がかかり、最終的には40から50の案の中からピラミッドを舞台とした冒険譚に決まった。制作に当たり、平井は「冒険感」を意識し、マスターになった自分がどのような冒険をするかということを基準としたとも振り返っている。
リアル脱出ゲームとのコラボレーション第3弾にして最終作である「謎特異点III FINAL 冠位時間神殿からの脱出」は、2020年7月から2か月にわたり全国のZeppを巡回する予定だったが、新型コロナウイルス感染症による影響により、延期が発表された。
『Fate/Grand Order』5周年を記念して、全国47の名所をサーヴァントたちが訪ねるというコンセプトのもと、2020年5月から7月にかけて、全国の地方紙47紙と全国紙1紙(読売新聞朝刊)上で展開された新聞広告。
作家の師走トオルによると、2016年に本作におけるシナリオのタップ数の制限が緩和された結果、他の作品においても同様の施策をとるケースが相次ぎ、ゲームシナリオの需要が急増したとされている。また、2017年における本作の関連楽曲の著作権使用料は約400億円であり、これはアニプレックスの親会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントの音楽事業の営業利益の3割超に相当する。
さらに、本作を通じて歴史上の人物や物事を題材とした書籍やイベントなどに注目が集まることもあった。
Sensor Towerが2019年3月に公表したブログによると、本作のプレイヤー支出額はiOS/Android双方合わせて推定30億ドルを突破したとされており、うち約82%は日本からの支出だが、中国(約12%)と米国(約3%)が続いており、Sensor Towerのブログの記事の筆者はアジアよりもFateシリーズの認知度が低い北米においても収入が高いとコメントしている。
ディライトワークスの第4制作部の代表を務める浅沼拓志は、2018年に行われた4Gamer.netの御月亜希とのインタビューの中で、どの国においても同様の反応が見られていると述べており、これが本作の強みであると話している。浅沼は特に印象に残った出来事として、上海のイベントで冠位時間神殿のフォトスポットを設けたところ供え物がされていたことなどを挙げている。また、インタビューアーの御月亜希も、日本語版と韓国語版の両方で課金プレイする韓国のファンがいることを挙げている。 一方で、キャラクターの描写やシナリオの内容が論争を招くケースもあり、たとえば、小説「Fate/Grand Order 英霊伝承 〜荊軻〜」における始皇帝の描写は中国のファンの間で議論を巻き起こした一方、同じく始皇帝が登場するLostbelt No.3「人智統合真国 シン」は中国のファンに受け入れられておライターの百元籠羊はアキバ総研に連載しているコラムの中で、中国のFate人気のきっかけとなった虚淵玄がシナリオを手掛けていたことでよい評価を得られたのではないかと推測している。
ゲームディレクターの類地健太郎は、物語を主軸としているため速い更新速度や物語とゲームの素早い連動などが実現できたと述べ、その在り方を週間連載の少年漫画にたとえている。キャラクター同士の相性や宝具の情報をあらかじめプレイヤーに開示することでプレイヤーに物語の展開を予測しやすくさせ、読者の予想を覆すような展開や結末を用意することで物語のリアリティをあげていると指摘しており、同様の理由から二次創作がしやすいのではないかと推測している。一方で本作のフォロワーが成功しない理由として本作の存在そのものがソーシャルゲームとしては特異であることを指摘している。
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